進撃short
□好きなんだもん
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「おいエレン」
「あっ俺!ペトラさんに庭の雑草抜き頼まれてますので!!!」
おかしい。
「おいエレ、」
「あっオルオさんに食器洗い言われてたのにやってなかった!!」
おかしい
「エレ、」
「あ、俺もう寝るので!おやすみなさい兵長!!」
エレンが、俺を避けてる気がする
喋りかけてもすぐどっかに行く、
喋るとしても必要最小限
それ以外は、とことん俺から離れてく
「くっそがっ……!!!!」
ガンッ、と、自分の執務室の机を蹴る
あまりこういう事はもうしないのだが
あいつのせいでかなりストレスが溜まる
理由もなしに避けられてるのだ、まあそりゃあそうだろ。
大体いつも「兵長!へーちょ!」とか言って犬みたいに後ついて来といて・・・
突然あんな分かりやすく俺の事避けやがって
俺が何かしたっていうのか
自覚済みだが、俺はエレンが好きだ。
もちろん友情とかそういう類じゃなくて、
キスとかセックスとか、そういう事がしたいっていう意味の恋慕
だが、なかなか言い出しにくい。
…おそらく、あいつも同じだと思う。
自意識過剰とかではなく、経験上、だ
こんな地位柄、熱い視線を向ける女子は少なくはなかった。
だから「尊敬」の眼差し、「恋慕」の眼差し、それらを見分ける事は出来た
エレンは、最初は前者であっただろう
しかし、最近後者になってきた
無自覚なのかどうかは知らねぇが
「いける」と、思い出したのはその時からだろうか
隠していこうと思っていた感情が、溢れてくるのが自分でも分かった
。
事は順調に進み、ここ最近はかなり関係が前進してるのでは…と、思っていた矢先だった
まず理由がわからない。
つい先日まではあんなに尻尾振って俺に懐いていたはずだ。
「−…直接、聞くしかねぇな。」
丁度時刻は23時、そろそろエレンの手枷をしなくてはいけない時間だ。
避けるようになってからのエレンは、この手枷という唯一俺から避けられない時間は「もう寝ます!!おやすみなさい!!」と勢いでやり過ごしてきたらしいが
…今日という今日は逃がさねぇ…
絶対ぇここ最近のワケを聞かせるまで寝かせはしねぇぞ…
自室の扉を足で乱暴に開きながら
リヴァイは地下室への道へと歩いて行った