イチニ書きさんに102のお題
□019 視線
1ページ/1ページ
殺気のある視線ってのは痛いくらいに分かる。
そんなもの今まで生きてきた中で何度も味わってる。
初めて会ったアイツの殺気は驚くぐらいいたかったまぁ。
視線だけで人を殺せるとしたら、アイツはきっと何人も殺してきてるだろう。
「いやぁ、そんな世界じゃなくてよかったや」
今まで考えてたのも今の言葉をこぼしたのも相棒であるデスサイズヘルの整備をしていたデュオだ。
ピースミリオン内でハワードがいない時間を狙って来たものだ。
なんてったって
「パイロットは体を休めるのが仕事じゃ、メカニックに任せておけ!」
と怒鳴られたのもあって、こっそり忍び込んではこうやって相棒を整備したり様子を見に来てる。
けどやたら最近視線を感じることが多い。
それは、多分アイツ、ヒイロ・ユイのものだ。
何度も戦場をくぐりぬけてきたんだ。
仲間の気配や殺気ぐらいは分かる。
けど、ばれないように探しても姿さえ見当たらない。
オレの気のせいなのか?
「いつになったら気付くんだ」
やっぱり、ヒイロじゃねぇか。
「気づいてはいたぜ、けど場所が分かんなかった」
どこにいたんだよと訊けば、フッと目を閉じて笑いお前の今みたいな表情が見たいから教えん。
そう言って格納庫から出ていっちまった。
「全くよ…」
アイツらしいぜ。そう思っていたら大音量放送でハワードに思いっきり怒鳴られた。
絶対アイツだ、ヒイロしかいねぇ。
くっそ、アイツの殺気の表情にかっこいいとか思っちまったのによ…
「今度から気をつけるか、しゃーねぇハワードに怒られてくっかな」
そう言って格納庫を後にした。