イチニ書きさんに102のお題

□001 夜明け前
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夜明け。

戦争中はそんなもの気にもとめなかった。
戦争が終わってから、暗い中外へ出た。
あと数分もすれば夜が明ける。

家のバルコニーにでてから肌寒さをおぼえる。

茶色の長い髪が風にゆれる。

「風邪をひくぞ」

そういって、オレに毛布をかけてくれる。

「ヒイロ、一緒に入ろうぜ」

「仕方が無い、いいだろう」

ヒイロと一緒に毛布をかけ、外を眺める。

「ところでデュオ。お前は何をしていた」

「あぁ!言ってなかったな。夜明けの空が見たかったんだ」

「何故そんなものを」

「ちゃんと見たことなかったんだ」

だからさ………そういってまた空をデュオは眺めた。
空が薄く青くなりはじめる。
ずっと向こうを見れば太陽が登り始める。

「空が……」

薄暗い中どんどん赤くなり始める。

「綺麗だ……」

「デュオ?」

本人は気づいていないだろうが、頬を雫が流れる。

「ヒイロ、綺麗だな」

「あぁ」

「オレ、コロニーでこんな綺麗なの見たことない。それに…」

思い切りヒイロに抱きつく。

「ヒイロと見られてよかった!」

俺は一体なぜデュオが涙を流したのかは分からなかったが、今デュオといられることの方がよっぽど嬉しい。

また、共にいられる新しい一日が始まる。



End

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