ガンダムW

□桜の円舞
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春になり少しづつ暖かくなり始めた最近は、風は少し冷たいものの動植物の目を覚まさせる。
あぁ、やはり春なのだと感じられた。

窓辺に腰かけ書物を読むのが心地いい季節。ふと司会の橋から桃色が飛び込んだ。

「桜...もう咲いているのか」

ぽつりとヒイロは呟いた。それを聞いていたのかキッチンの方でコーヒーを入れたデュオがカップを二つ持ち歩み寄る。

「なんだ知らないのかヒイロ、もう近くの公園だって咲いてるんだぜ?」
「最近外出していなかったからな。暇なら見に行くか」
「おぉ、珍しいこともあるもんだ。お前さんから誘ってくれるとはねぇ...いいぜ、ヒイさんの気が変わる前に行きますかね」

デュオが一つに束ねていた髪を解く。珍しく三つ編みでない彼は何だかんだ新鮮だ。

ヒイロはジーンズとタンクトップの上にジャケットを、デュオは暖かそうなコートを着込んでいく。
こうして任務以外で車に乗って出かけるなんていつぶりだったろうか。前はGチームで紅葉を見に行った以来だったっけ?

車で30分ほどで桃色のトンネルに入っていく。大きさなんて本当に小さいのに、細々と咲き密集しているためにそう見えるのだ。

「ほら、着いたぞ」
「相変わらず桜は綺麗なモンだな」

脚まである髪をなびかせながら舞い散る桜を取ろうと手を伸ばす。


手を伸ばしては花びらにかわされる。

その姿に呆れながらヒイロも舞い散る花弁に手を伸ばす。

はらり、はらりと手の上に乗る。

淡い桃のその色は情事中の奴の顔色と同じじゃないか。

フッと笑みがこぼれてしまう。

「うわっ!?」

不意に聞こえたその声に、デュオに目を見やる。強風が吹いただけだ。けれど、綺麗に円を描き、螺旋を描きながら空へ舞い上がる桜の花びらに同じようにデュオも踊っている。あの茶髪に花弁を纏いながら楽しそうだ。


こんな姿を見られるなら、また来年共に連れてきてもいいかもしれない。


そう思いながら柔らかい笑みを浮かべていた。


End

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