ガンダムW
□声
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「ひ...ぃ、ろ...」
「やめろ喋るな。大人しくしていろ」
誰がこんなこと信じられるか。
デュオが
あんなに眩しい笑顔を向け、俺を見つめた大きなコバルトブルーの瞳は閉じかけている。
あの時俺が、守ってやれなかったからだ。
今回の任務はそう難しいものではなかった。だからと言って気を抜いていたわけでも、準備を怠ったわけでもない。
そう、俺の判断ミスのせいだ。
気配に気づきデュオを庇おうと出た瞬間に、間に合わなくデュオは腹を撃たれた。
これ以上は無理だと判断した俺達は、急いで施設をでて、人の入り込まない森へと逃げた。
本当に運が悪い。
雪の降りしきる今では歩いた場所に血液が落ちて、まるでヘンゼルとグレーテルだ。
的に居場所を教えてしまっている様なものだ。
しかし、少しでも時間を稼ぎたかった。
だいぶ森の中へ進み、木々が風でざわめく音しか聞こえない。
「すまない、本当にすまないデュオ」
「お前のせいじゃ、ねぇ...よ」
それでもにへらと笑うデュオ。でも、分かっているんだ。
もう、俺達に未来が無いことを。
デュオの瞳と目があった瞬間だった。静かな森に再び銃声が鳴り響いた。
同時にヒイロは背中に強い衝撃と激痛を感じた。
「かっ......は、ッ」
全く気付けなかった。既に追手が来ていたなんて...
血が流れ、視界が霞んでいく。それでもなおヒイロはまだ体を起こしている。
そして、デュオの体を抱き上げ庇う。
「ヒイ、ロ」
「喋るなと...言ったはずだ」
「へへへ、おま、だって...」
胸部に銃弾を受けたんだ、おそらく、いや、確実に持たないだろう。
ヒイロもデュオも致命傷には変わりない。口の中は血の味が広がり気持ち悪い。
肺が傷ついたのか、ヒュウ、ヒュウ、と呼吸をする度に響く。
今聞こえるのは互いの声だけ。
時は非常にも止まらない。だんだんと視界はぼやけ、視点もぶれる。
意地でもヒイロがデュオを抱きかかえ、兵士を睨みつけた瞬間脚と肩を撃たれ、蹴り倒された。
撃たれてもなお抗い続ける15の子供たち。見てるだけで気持ちが悪くなってくるという目で兵士は見る。
コバルトブルーの瞳から、音も立てずに雫が零れた。
「ずっとは、みれ、な...けど...
おまえ、を...みてる、か...ら」
「何を言って...る、ん...だ」
未だ抱き抱えたままのデュオをより強く抱きしめる。霞んでいく視界に、デュオがいなくなるのが怖くて。