ガンダムW
□適温だから
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新年明けて、そろそろ本格的な真冬になってきた。外を見れば寒さに凍える人々も見える。それは彼らにとっても変わりない。
「ヒーイーロぉ、いいじゃねぇかお前の被ってる毛布ちょっとくらいこっちくれよ」
「やらん。デュオ、いい加減にしろ。お前のはお前のでちゃんとあるだろう」
ヒイロの被る毛布の取り合いの中彼が指さす先にデュオの愛用毛布が彼らのベッドの上でへたりと寝ている。
「やだ」
「何故だ」
「やだっつったら嫌だ!」
「......理由を言ってみろ」
「嫌だ」
さすがのヒイロも若干表情に怒りが出ている。こんな幼い子供のような返し方をされればイラッともする。
「なぁ、ヒイロ頼む。お前の毛布の中入らせてくれよ!」
「断る」
「そんな硬いこと言うなって♪」
デュオが次のタイミングでヒイロの毛布を引っ張ろうとした時だ、気付かぬうちにヒイロに腕を掴まれていて彼の元へと力強く引っ張られた。
「わぶっ!」
「なぜ毛布なんだ」
「え?」
「何故俺ではなく毛布なのかと聞いているんだ」
要するにまさかのヒイロさん毛布に嫉妬。
まさかの言葉にデュオの顔はかなりの間抜け面になっているだろう。
開いた口が塞がらない。
「えっ、えぇ?だって、おま、ちょ、それは」
「貴様は俺より毛布の方が良かったのか」
「いや...」
ヒイロに引かれた状態の姿勢を起こしヒイロに抱きつく。その勢いのまま再びベッドの上へ二人でダイブする形となっているがデュオは満足だった。
ヒイロの香りが落ち着く。何より、そう温かい。
「まったく、勝手なヤツだ」
「オレは、毛布より...」
さらに強くヒイロに抱きつく。彼の首元に顔をうずめて満足そうに笑うデュオに対してヒイロはふっと優しく笑うのだ。そして、同じように抱き締め返してやる。
「これで満足か?」
「あぁ、お前の匂いと温かみがオレにはちょうどイイんだ」
とある寒い日の昼下がり。
カーテンは閉めたままのその部屋で、再び彼らは眠りに落ちた。
End