ガンダムW

□秋の風物詩?
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今年の夏は本当に長かった...
そんな言葉を毎年のように言い放つ三つ編みの少年は、今は窓辺に座り穏やかに部屋へ流れ込んでくる風を感じている。

「そんなことよりデュオ。いい加減に手伝ってください、いつまでたっても片付かないじゃないか」

透き通るスカイブルーの双眸を持つ少年、カトルはため息をつきながらやることを促す。
今現在プリベンターの事務所では季節の変わり目ということもあり大掃除の真っ只中だ。

「えー、別に季節ごとにやらなくたっていいわけだろう?なんでこうも毎度毎度やんなきゃなんないんだ」

不服そうに言い放つが渋々手伝うデュオ。五飛とヒイロは安定の無視、トロワはフッと意味ありげに笑う。

「じゃあデュオ。これが終わったら秋に風物詩何かみんなでやらない?

「風物詩?」
「えぇ、秋といえば読書、食、スポーツ、芸術の秋と言われているくらいですからね」
「なら、スポーツか?」

デュオも渋々手伝いながら風物詩について話を進めていく。このメンバーでスポーツとかロクな事にならないだろうと思うのだ。特にヒイロとトロワの身体能力は異常な気がするわけで。

「スポーツでもいいけど、5人だけでは無理があると思うんだ」

そうだな、ゼクス当たりはまだいいだろうがほかの局員じゃあ到底追いつかないだろうしな...
カトルとデュオが頭を悩ませている中、あの無口な男の口が開かれた。

「紅葉」
「えっ?ヒイロ、もう一度お願いしていいですか?」
「紅葉でも見に行けばいい。ちょうど見頃だろう?」

これっぽっちも興味無いような素振りをしていたやつからそんな言葉が出ると思わないというふうにデュオは驚く。

「紅葉か、オレもちゃんと見たことなかったから見てみたいな」
「トロワもか、五飛。お前はどうだ?」
「好きにしろ」
「じゃあ、それでいいかな。他になければ」

そしたら早く終わらせようとカトルが声をかけ、やる気のなかったデュオも今ばかりは早く終わらせてやるというふうに黙々と掃除をしていた。

二時間後、ようやく事務所内が綺麗に片付いたところで一旦5人は昼食をとりヒイロの運転の元紅葉が綺麗だと言われる近場に山へ向かった。

思えば五人で移動なんて珍しい。明日は雪が降るんじゃないかと思うくらいだ。
車を走らせてはや二時間後には着いた。

「うわさっぶ...流石に山はさみぃなぁ...」
「ヒイロ、どこへ行くんです?」

ヒイロが1人で前を進んでいく。道もわからないからとりあえず四人はヒイロのあとをついていく。彼の歩く道の先は既に赤黄、緋色に染まっていた。

「あぁ、この先に湖がある」

そこで休めばいい、そうヒイロは言う。トロワとデュオは物珍しげに見ている。五飛は色よりはらりと落ちてくる葉に気を惹かれているようだ。

美しく、ゆったりと空を舞う緋色や黄色、橙赤色の葉は踊っているように見えるのだ。
湖に着いてからは個人の好きなように動けばいいと決め、一時間後に同じ場所でと5人は別れた。
いや、細かくいえば2人と3人だ。

「なぁヒイロ。なんでお前こんな場所知ってるんだよ」

初めてくるのに湖の場所を知っていたりそこから見える綺麗な風景をもっと美しく見られる場所へと今移動している。しかし彼の口は開かれない。

「ヒイロさーん」

あまりにもほっとかれ少々むすくれているデュオはヒイロの目の前に立ち顔を近づける。

「教えてくれよ。なんで詳しいんだ?」

透き通るアイスブルーの双眸はただ目の前の恋人のみを映す。

なんの前触れもなかった。
デュオも気づかないくらいの速さでヒイロの唇と重なり合う。

「んっ、ふ...」

短めに切られたキスの後にようやく答える。

「ずっとお前を連れてきたかったからだ。落ち着くし、何より」

ヒイロの口はデュオの耳元へと移動する。そしてゆっくりと答える。

「誰にも邪魔はされん」

その言葉だけでデュオの耳は赤く染まり落ち葉と同じような色へとなっていた。

「さ、サンキューな...」

照れながらデュオは言う。その姿を見て隣の恋人が意地の悪そうな笑みを浮かべてることはまず知らないだろう。
デュオは自らの額をヒイロの方へと預ける。

「しばらくこうしててもいいか?」
「お前の気が済むまで、時間が許すまでそうしていたければかまわん」

そんな姿にヒイロは両腕をデュオの背中へと回し優しく抱き寄せた。

「なあヒイロ。来年ももし平和で時間があったらまた連れてきてくれよ」
「いいだろう」

へへっ、と笑いながら時間になってしまう前に手を繋ぎながら集合場所へと向かった。


End
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