ガンダムW
□十五夜
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秋、月。
そういえば、出てくるものは十五夜お月様。
そう言っていたのは誰だったか。
いつものように窓の棧に腰をかけて外を眺めてヒイロは考えていた。
自分には関係ないと。
だがどうやらあの無邪気で煩い死神はそう思っていないようだ。
「ヒーイーロー!」
そう言って突然ヒイロにデュオは抱きついた。
頬をすり寄せてあったかいだのなんだのと言う。
「デュオ、どうした」
「ヒイロ、今日なんの日か知ってるか?」
「月が綺麗に見える」
「近いけどな、十五夜っていうんだってさ」
まぁ、デュオなら月見団子作って食べるとでもいうのだろう。
「だから、今日見に行こうぜ」
「どこへだ」
「どっか♪」
それまで自由にしてていいぜって言われても、何もすることはない。
また、窓の外をゆっくり眺めることにした。
予想通り、キッチンの方でデュオは団子を作り始めていた。
ゆったりと過ぎる時間。
穏やかな風。
暖かな光。
眠気を誘うには条件が揃いすぎていた。
ゆっくりと確実にヒイロは眠りへ落ちていった。