ガンダム00

□花びらの雨
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寒い冬を終えてそろそろ暖かくなる頃だと経済特区東京の仮住まいで刹那は思っていた。いや、願っていた。

もともと寒いのは慣れていないせいもあり暖かい方がいい。
好きなテレビ番組なんてないし日課のトレーニング、情報収集も終えてしまった。現在ロックオンは朝食のパンを買いに行っている。

ふと、何気なく窓を開けてみた。

部屋の空気が悪い訳じゃない。けれど、何となく外の風を部屋に入れたかった。

窓を開けて、外の景色を見てみる。代わりることのないいつもの東京。多くの人々が行き交い、交通量の激しい大通り。

やはり、面白味もない。

窓を閉めようと手を伸ばした時、ふと色鮮やかな何かが部屋に入り込んできた。

「…花びら?」

珍しい、こんな所にまで風に運ばれてくるなんて。やはり暖かくなっているのと同時に風が強いのだ。

再び閉めようと近づいた時により多くの花弁が風に運ばれて部屋に入り込む。

「…!? 一体今日は何だと…」

刹那は入り込んできた花弁を広いあげ見つめてみる。生まれ育った国にはないものだった。

「うぉっ、なんだこれ刹那」

「帰ってきていたなら一言くらいかけろニール」

「いや、オレも今帰ってきたところだよ。それより、せっちゃんこれは」

「俺ではない。窓を開けたら風で舞い込んできたんだ」

ニールも落ちていた赤い花弁を摘まみ上げる。外の光にかざしてはふわりと笑った。

「どうしたニール」

「いや、似てると思ってさ」

刹那は首を傾げる。何にしているというのか。

「宝石にでも似ているのか?」

「それよりも綺麗なものだよ、刹那。お前さんの瞳の色と同じなのさ」

「…自分で言っていて恥ずかしくないのか」

「思ったことを言ってるだけだっつの」

言葉にはしないけど嬉しいと思った。素直にありがとうと言えればいいのに。

こんなふうに言われるなら、風に運ばれてくる花弁が部屋に迷い込むのも悪くはない。


刹那の口許は花弁を見つめながらニールには見えないように弧を描いた。

End

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