ガンダム00
□貴様の心、狙い打つ!
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日本時間2月14日午前9時。
日本での仮住居待機という名の休暇で刹那・F・セイエイは大量のチョコ板の入ったビニール袋を片手に下げて戻ってきた。
ドアを開けようとしたときに。
「あれ、刹那!戻ってきてたんだ」
「沙慈・クロスロード」
「ほんとだ、刹那!」
「ルイス・ハレヴィ」
沙慈は刹那のお隣さん。
「チョコ作るの?」
「あぁ、みんなにあげるんだ」
多少頬を赤くして答える。
「作り方知ってるの?」
「……」
「じゃあ、あたしも手伝うよ。ねぇ、沙慈?」
「僕も!?」
「いいでしょ」
「頼む……」
チョコを作るなど珍しいと思った沙慈は自宅に刹那を招き入れた。
ルイスが先導者となり教えていく。
今回は生チョコを作るそうだ。
「じゃあ沙慈はお湯を55度に設定。刹那はゴムべらとボールを出して」
そういう間にルイスがチョコレートの銀紙を剥いていく。
しかし刹那は一向に動こうとしない。
理由は、もちろんただ一つ。
幼い頃からゲリラ兵だった刹那は料理、ましてやその道具など目に触れることもほとんどなく、触ったこともないのだ。
見たことはあっても名前までは分からない。
「刹那、これよ」
手渡された物がようやくそれだとわかる。
「ルイス、設定できた」
「これから鉄板にシートをあたしは張っていくから、刹那はチョコを細かく切っておいてね」
それまで沙慈は温度管理を任され、ルイスが部屋を出て数分後。
「ッ!……」
小さく聞き取りにくい呻き声が聞こえた。
その声は板チョコを切っていた刹那から、
「大丈夫刹那?」
「問題ない、慣れている」
とはいえど結構出血量が多い。
「ちょっと待ってて、マキ●ンと絆創膏持ってくるから」
沙慈は違う部屋に行ってしまったため、刹那一人となった。
「これくらい……」
そう思いながらチョコを再び細かく切っていく。
しかし、少しずつ襲ってくる鈍い痛みに集中できず、再び傷を増やしていく。
「刹那……傷口が何で増えてるの」
あきれた口調で沙慈は離しながら、絆創膏を貼っていく。
合計5か所。
そして、斬ったチョコをボールに入れ湯せんにかけていく。
☆同時刻、プトレマイオスにて☆
片目が前髪で見えない青年と、緩やかなウェーブを描く茶髪の青年が何やら話しているようだ。
「アレルヤぁ……」
「もうロックオンったら、少しは刹那離れしなよ。刹那も16歳だよ」
「16はまだガキだ!アレルヤ、お前だって俺からすりゃまだ子供だしな」
「分かっています、でももう少しで僕は二十歳になるんです」
「へぇ、そりゃ祝ってやんねぇとな」
「話を戻すが、ロックオン・ストラトス。君は刹那に執着しすぎだ」
「何だティエリアか。何言ってんだお前さんだってアレルヤにどっぷりだろう?」
勝ち誇ったように笑うロックオンに対し、ティエリアは顔を真っ赤にしながら
「万死!」
そう言い放って部屋を出た。
入れ替わりに球体のオレンジが入ってくる。
「ロックオン!ロックオン」
「おっ、ハロか。どうしたんだ?」
いつの間にかアレルヤもいないその部屋は少しさみしくも感じた。
「サミシイ?、セツナイナクテ、サミシイ?」
「うるさいぞ」
抱きかかえてその場を後にしたロックオンとハロだった。
「さて、僕もそろそろ作ろう」