捧げ物

□少しぐらいの甘えを入れよう
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戦争が終わってから、平和が来たのだと思わされた。
いや、実際には平和なんだ。
ただ、俺にはそんな感覚が違和感なだけで。

あの時は本気で戦って殺そうとしたゼクスに、何故か惹かれる物があって、好きになった。
その気持ちが冷めることがなくて、終わってから想いを伝えたんだ。

そしたら、ゼクスも俺が好きだって、愛してると言われそれ以来ずっと一緒に生活している。

ただ、俺には人間性というものがないに近い。
ゼクスと暮らすまであまり感情がでなく、今も感情が薄いが前よりは出せるし自分でもわかる。

「ヒイロ、おいで」

リビングにある大きなソファにゼクスが座っていて手招きされる。

「ゼクス……」

ゼクスの膝の上に座る。
頭を撫でられ、眠くなってくる。

「ヒイロ、今日は何がしたい?任務も学校も休みだろう?」

「あぁ、確かに休みだ。俺がやりたいことは、良く分からない」

言った瞬間、ヒイロのお腹からきゅぅぅっ、と可愛い音が鳴る。

「ん……」

恥ずかしかったのか、顔を赤らめる。

「もうこんな時間か。ヒイロ、なにか食べに行こう」

「あぁ」

ゼクスとヒイロ、久しぶりに二人で出かける時間ができてどちらも嬉しそうな表情が見られる。

着替え終わって外へ出れば夏の暑い日差しが降り注ぐ。

「暑いな………」

「そうだな………ゼクス、お前は何が食べたい?」

「私か?そうだな特に……ない」
(なくもないが、今言ったら確実にまずい…)

「俺もないな…………!」

ふと見た先に先日できたパン屋があった。
あまり欲しがらないヒイロが珍しく目を輝かせている。
多分本人は気づいていないだろうと。
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