百人一首
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「…大好きだ、椿」
「僕も、その、すきだよ」
「これからは、一生一緒に居ような」
「あぁ、約束だ」
思い出す、懐かしい記憶
2年ほど前の忌々しい記憶
約束したじゃないか、一生一緒に居ると
なぁ、つばき──。
それは、俺たちが大学へ進学し少したった頃…突然だった、
ピーポーピーポ....
すぐそこで鳴っているのに
どこか遠く、別次元に居るような気がした
「椿!」「椿くん!」「佐介!」「椿ちゃん…!」
様々なひとが名前を読んでいた、それでも俺は理解できなかった。
否。したくなかった。
医者は手術は成功したと言った、しかし目覚めるかはわからないと、目覚めても以前のように生活するのは難しいだろうと。
しかし椿は、そのまま目覚めることはなかった。
椿、椿、…椿椿椿椿椿椿つばきつばきつばきつばきつばきつばきつばきつばきツバキ椿…佐介…!
どうして、どうして俺をおいていくんだ…父さん母さんのように、
約束したよな…さすけ……一緒に居ようと
そうか、俺も死ねばいいのか
そうすれば、また一緒に居られる
そうして俺は自殺未遂を繰り返した
だが死ぬことは出来なかった、これが俺への罰なのだろうか、俺はそんな悪いことをしたのだろうか、どうして椿を奪われなければならなかったのだろうか。
神様、お願いだ、来世も
来世もきっと椿と双子で生まれさせてくれ、今度はずっと一生一緒…幸せな日々を──。