歴史の位置ページ〜第二次攘夷戦争〜

□第九章‐壊‐
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「…それ以上、動くと撃ちますよ」



ゆらりと立ち上がる影に、異三郎は銃を構え直した
銀時はそんな言葉にはお構いなしに、脚を一歩を踏み出す
そして一歩、また一歩と異三郎の威嚇に臆することなく歩みを止めなかった





「止まりなさい」


先程撃たれた傷口からは、血がポタポタと滴っている
それは跡をつけるように、道標を作っていった

「…仕方ないですね」




パンッ

異三郎の放った銃弾は銀時の脚に当たる
傷口から少し血を飛ばすと、すぐさま血液がダラダラと流れ出した


パンパンッ

続けて銃声が鳴り響く
なおも歩みを止めぬ銀時に、異三郎は表情一つ変えずに弾を撃ち続けた
肩、脇腹と銃弾は銀時の体を貫いていくが、銀時は歩みを止めない






「まったく…とんだ狂犬ですね」


異三郎の目の前まで来た銀時の体に、銃口が当たる
この状態で引き金を引けば、間違いなく即死だろうが
両者、動かない状態が続いた

銀時は異三郎を睨み付ける








「…よくも」

そう呟くと拳銃を構えている腕を掴み、思いきり力を込めた
腕はミシミシと鈍い音をたてる


「…そんなに私が憎いですか?」


「許さねェェェェェェェ!!!」


銀時は、異三郎を睨み付けると木刀を振りかざした
異三郎は素早く刀を抜きそれを受け止めると、すぐに斬り返す


キィンキィン!!



連続する金属音
銀時の太刀筋は、めちゃくちゃだった
先程までと違い、その刀には殺意が込められている
怒りに任せて振るう剣に異三郎は押し負けてしまう



「それだけ…負傷していて…この力ですか」





ドカンッ



銀時が思いきり木刀を振るうと、受け止めきれない異三郎は後ろに飛ばされ塀に当たる
激突した衝撃に少し血を吐いて、そこへ倒れこんだ

銀時は血のように赤く光る眼にその様子を映しこむと、とどめをさそうと近付き木刀を振り上げる






 
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