歴史の位置ページ〜第二次攘夷戦争〜
□第六章‐略‐
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カチカチカチ…
橋の上に男が二人
うち一人は橋にもたれ掛かり携帯電話を手に、何やら文字を打ち込んでいる
隣にいる男は、編み笠を目深に被り表情はわからない
カチカチ…
「よし、これで大丈夫ですかね」
顔を上げ、川の流れを少し眺めた後
胸元に携帯電話をしまったのは見廻り組局長、佐々木異三郎だ
「クックックッ…おめェも大変だなぁ?」
「いえ、先に手を打っておかないと後々面倒臭い事になりますからね、エリートたるもの常に計略をめぐらせておかないと」
編み笠の男の顔は口元だけが見えていた
その口がニタリと笑う
「銀時を殺っとかないと…後が大変なんじゃねェか?」
「あの男は…存分に利用させて頂きますよ、貴方もそう考えているんでしょう?高杉さん」
「さぁな」
異三郎は体の向きを変え、橋に寄り掛かるように立った
「かつて共に戦ったことのある貴方なら、わかるはずです、白夜叉と言われ恐れられた坂田銀時の力を…そして、その力を幕府や天導衆を潰す為に使えたら…なんて思っているんじゃないですか?」
「…」
「…真選組と繋がっているあの男が、再び攘夷志士になるとは思えません
しかし今回、真選組が攘夷狩りをし…罪もない者を次々に手にかけたら、どうなるでしょう」
「ふん…どうだかな」
真選組は何やら考えているようですが…
対した策ではないでしょう、何しろこの国は天導衆の思いのまま
真選組のような無能な人間の集まりが、刃向かう力もない
局長の命さえ…思いのままなのだから
異三郎は、真選組が何か考えていることは知りつつも
その内容までは知らなかった
もちろん見廻り組も、警察組織として今回の攘夷狩りには協力している
「まぁ、好きにしたらいいですよ
貴方の大法螺…私も付き合ってみたいのでね」
「クックックッ…そうか」