不始末の激情
□序章
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幾度の季節が巡っただろう。
春は過ぎ小鳥は囀ずり、秋が来れば草木はその身を赤らめる。
幾度の夜が過ぎただろう。
闇が世界を包み込み月が微笑めば、太陽は負けじと満面の笑顔で世界を包み込む。
変わり変わって、巡り巡る。
全てが変わり巡っていく。
「でもねェ、まだ終わりじゃないよ」
男は早く、早く笑った。
月明かりは、ぼんやりと影を伸ばす。その影に引きずり込まれるように銀色の刀は鞘に納められた。
銀色は紅く染まり、それが嬉しいのかグニャリと形を変える。
「鬼さん、コチラ。血の舞う方へ」
男は笑った。