空を仰ぐ
□第四章『世間話もほどほどに』
3ページ/3ページ
「だが、俺達が銀時の元に行くと村人は、皆倒れていたんだ。死んではいなかったが」
桂は遠くを見て、話を続ける。
「俺達は尋ねた、お前がやったのか?と…するとあいつは『覚えていない』と答えたのだ。不思議だろう?もしかすると、あの時すでに白夜叉が居たのかもしれないな」
「おい、テメェ等三人は同じ塾だったってことか?そしてそのまま、攘夷戦争に参加したと」
桂は静かに頷くと表情を少し暗くした。
「何故、戦争に参加した?なんでテメェ等は今、別々に行動をしているんだ?」
【過去の話は割愛】
太字で大きく、その文字が書かれたプラカードを持って現れたのは、エリザベスである。
「…エリザベス!!リーダーは!?リーダーは大丈夫なのか!?」
【とりあえず一命は取り留めました】
ちょっと誇らしく見えるエリザベスに、新八は安堵の表情を浮かべ笑顔になった。
「…神楽ちゃん。良かった…本当に…」
生きてくれた。頑張ってくれた。
これは涙が出るほど嬉しいことだ。
それに、神楽が生きていたことは銀時の為でもある。
もし別の人格であるという白夜叉の仕業であるなら、銀時は神楽が死んでしまったら、それこそ精神を崩壊させそうだからだ。
「チャイナ、あの傷でよく無事でしたねェ」
まったくだ。
夜兎族の回復力はすごい。
神楽と初めて会った時も、バイクでひかれてもピンピンしていた。
「…おい、チャイナ娘が助かったのは良い報告だが。割愛って何だ割愛って!!」
「土方さん、そこはわかってやりましょうよ、過去の話なんかしたら、ただでさえ長い小説が更に長くなりますぜィ」
「そういうことだ。…俺達の過去はいろいろあった」
「……」
「以上だ」
「以上だ、じゃねェだろォォォ!!意味わかんねぇよ!!…つか何!?微妙に過去の話に触れたくないだけだろ!!」
「うるせーなァ…土方さん、そこは空気読むべきでさァ」
「ここで話をせずとも、いずれわかることだ」
「えぇ!?そんなんでいいのかよ!!」
「話すと長くなるから、な?エリザベス」
エリザベスは、コクりと頷いた。