BLEACH

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ぽかぽかと、日差しが暖かい昼下がり。


「僕もね?やっぱりやらなきゃな。頑張ろうかなって、思うんだよ」

「うん」

「けどねぇ、ほら。仕事はいつでも出来るけど…いつまでもこの期間限定の饅頭が売ってる訳じゃないしね?」

「ですよねぇ〜!あたしもそう思います」

「妃奈も妃奈も!」

「剣ちゃんは『遊びの方が大事』って言ってたよー!」

「いんやぁ更木隊長良いこと言うじゃなぁ〜い」


ガラッ

「帰れ」

開口一番に那央は言った。

ここは和光隊・執務室。

そこにいたのはソファで寛ぐ京楽、乱菊、妃奈、やちる。

隊主席には匡。そしてその机の上には寿がちょこんと座っている。

乱菊はぶーっと口を尖らせた。

「いきなり入ってきてそれはないんじゃなぁーい?」

「そうだよ!妃奈達匡ちゃんの邪魔とかしてないよ!」

「そうだそうだ!」

乱菊、妃奈、やちるは那央に抗議する。京楽は笑った。

「いやぁ〜匡ちゃんって器用だよねぇ。書類しながら僕達の話聞いてくれるんだもん。」

「あはは、誉めてもなにも出ないよー」

「……」

「「「……」」」

邪魔してんじゃねぇか。

的な那央の視線に、3人は目をそらす。

那央はため息をつくと、ふい、と廊下を見た。



「おい、引き取ってくれ」

「「「え?」」」

ぽかんとする一同。寿だけは、匡の机にちょこんと座って楽しそうにしている。

入ってきたのは、七緒、日番谷、一角の3人。一角は心なしか泥で汚れている。三人に共通点。それは、額の青筋。

途端、京楽、乱菊、やちるの顔が引きつる。



「隊長…?書類を運ぶのに随分とかかるんですね」

「なっ七緒ちゃ」

「ま〜つ〜も〜とぉ〜!!!」

「たたっ隊長…!!那央の裏切り者ぉ!!」

「こんのちびー!!やっとみっけたぞ!!!」

「げっつるりーん!!」


三者三様の反応をして、それぞれ引きずられて行く。

妃奈はあーあ、と見送った。

那央は、それをじろりと見る。

「…妃奈」

「にゅ?」

「随分、暇そうだなぁ」

「え…?」
「お兄ちゃんの鬼ー!!!」

「まぁまぁ、妃奈ちゃん」

人型をとっている寿は苦笑しながらお茶を妃奈の前に置く。

「これが終われば那央くんが美味しい昼食を作ってくれますから」

「やっほい!!おひるっおひるっ」

「「(単純…)」」

やる気を出してるんるんと書類に取りかかる妃奈を見ながら匡と那央は思う。


「いやぁ…平和だねぇ」

「いいことですね」

「まったくだ」

「おひるー♪」

「ふぁ…」

「あはは、眠そうだね、那央」

欠伸を漏らした那央に匡は笑った。那央は腕を伸ばしながら言う。

「一区切りついたら昼寝でもするかな…」

「みんなでお昼寝でもしますか!」

「お前は仕事しろ、妃奈」

「理不尽ー!!」

「(妃奈ちゃん…そんな難しい言葉を言えるようになって…成長しましたね)」

「まぁまぁ、妃奈。那央の愛の鞭さ」

のほほんと笑う匡に、那央は苦笑する。

「んな言葉どこで習って来たんだよ」

「うん?乱菊が言ってた。『相手の為を思って、あえて厳しい態度をとる』…大人だね〜」

「あら、乱菊さんいいことを仰いますね」

「松本がなぁ」

寿と那央が意外そうに言うと匡は笑った。

「うん。だから、乱菊は、冬獅郎を思ってサボってるんだってい─」

「「それは違う/います」」

那央と寿は匡の言葉を思わず遮る。

「いいか、匡。サボリはサボリだ」

「匡ちゃん。仕事をこなさせるのは『愛の鞭』。仕事をサボるのは『業務放棄』です」

妃奈がぱっと手を挙げる。

「妃奈が仕事をするのは?」

「「『当たり前』/、です」」

「あんまりだぁ〜!!」

2人に言われ、妃奈は机にべしょっと倒れた。

「なるほど、これが愛の鞭」

「まぁそうだ」

「よーし、覚えた覚えた」

「ふふっ匡ちゃんは日々成長、ですね」

「身長以外はな」

「それは言わないでおくれよ…」

匡はずぅん、と落ち込む。気にしてるんだから。と、少しむくれる匡に、那央は笑う。

「くくっ悪い悪い」

「あたしだって…目標身長の為に日々頑張ってるんだ」

「因みに目標は?」


「2m」


「「……」」



「匡ちゃん頑張って!!妃奈すっごい応援してんね!!」

「うん!!ありがとー!妃奈!」


わっと笑い合う2人を、寿と那央は眺める。



「…那央くん、どうします?匡ちゃん2mになったら」

「寿さん、俺はとりあえずこいつらの頭の中が心配になってきた」

「やだ、那央くん…そんなの」



今更ですよ。



寿の綺麗な笑みは、青空に消えていった。
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