フェアリーテイル
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天狼組が帰ってきてから二週間…
帰還のニュースは大陸中に広がり、妖精の尻尾の仲間達はその間も毎日お祭り騒ぎ。7年間の空白を取り戻すくらいの勢いで宴会宴会宴会宴会…
『…何故かな。こんなに掃除してるのに綺麗になる様子がない』
そして7年の間に荒れに荒れて、埃だらけ蜘蛛の巣だらけになってしまった残念な部屋を日々少しずつ片付け中のヒナ。掃除掃除掃除掃除の毎日なのに、片付けられていく気配がない。
ルーシィの部屋は大家さんが掃除してくれていて綺麗なままだったと聞いて、『ズルいズルい』とうな垂れたのは言うまでもなく。
『もう限界だぁ!アリィ助けてー!!』
ヒナは風魔を召喚。こんな部屋の中で呼ばれたアリィは何の用事か全くもってわからず。
《…え、何ヒナ、何の用?》
『掃除手伝って』
《…帰ってきてもう二週間だよ?そろそろ掃除終えてもいい頃だよね?まさかヒナって掃除出来ない系女子?モテないよそれ》
『うるさいな、あたしは何でもコツコツやる派なの。それと一応これでも彼氏いますぅ掃除早く手伝え』
《あ、じゃあやっとグレイと付き合い始めたんだ?》
『?!』
驚き過ぎて言葉に詰まる。何で知ってるの、と言いたかったが上手く声にならない。それを察したのか、アリィの方から話してくれた。
《グレイがヒナを好きなコトくらい見てればわかる》
まさかそこまでグレイが自分にアプローチしてたなんて、気付きもしなかった…と内心申し訳なくなった。
『…ま、まあそれはさておき!アンタの風で埃吹っ飛ばしてくれないかなーあと蜘蛛の巣も是非』
《うぇ…本気?部屋がどうなっても知らないよ?》
『ノープロブレム!これで一気に掃除終わるはず!さあさあお願い』
《言い方がダメ。もっと取引先に言うみたいに》
『…○Zか何処かのキングですかアナタ』
とかいいつつ結局は取引先に言うみたいに丁寧にお願いをして、やっとアリィは動き出す。ヒナは期待に目を輝かせるが、次の瞬間広がった光景にあんぐり。
ブァッサアアァァァアァ!!
『え?え?!ちょ、ま、埃だけって言ったじゃん!!?』
風が吹いたせいで、埃だけでなく部屋中の紙やら布やら軽いものが狭い空間に一斉に舞い上がった。
《そんなん無理だから〜。だから忠告したでしょヒナのバーカ》
それだけ言い捨て、姿を消すアリィ。残ったのは帰ってきた直後以上に荒れまくった部屋だった。
『……シンジラレナイ…』
絶望と共にへたりと座り込む。
にじむ涙で霞む視界、無意識に置いた手の下には見慣れない手帳のようなものが。
『…ん』
さすがにこの荒れまくった部屋を目の前にして直ぐ掃除に取り掛かる気にもならず。気を紛らわそうと、その手帳を手に取り開いてみた。