銀魂A
□第五章
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先日、銀さんと桂さんが宇宙海賊"春雨"の一派を壊滅させたらしい。
見廻り中に偶然出会った、地味で眼鏡で最近万事屋に勤め始めたという…そう、新八くんに聞いた話。なにやら酷い目に合ったと笑っていた。
そんなわけでいち早く事の真相を知ったわけだけど、勿論、現在も攘夷活動を続ける桂さんが絡んでいるのでは、真選組のみんなには話せることではない。みんなには申し訳ないけど、桂さんも恩人だから庇わせてほしい。
「えー、みんなもう知ってると思うが。先日宇宙海賊"春雨"の一派と思われる船が沈没した。しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴等を壊滅させたのはたった2人の侍らしい………驚くどころか誰も聞いてねーな」
屯所での会議。こんなもんである。
荒くれ者な真選組隊士は小難しい話は嫌いなのである。局長である近藤さんの話聞いてるのも前にいるわたし、土方さんだけらしい。
ちょ、総悟くん?なに熱くダウトやってんの?君きっと恐ろしく強そうだよね、嘘つきだもんね。
「トシ」
カチャ
話を聞かない奴にはお灸を据えるしかないわけで。
ドカン
『…けむっ』
わたしはバズーカによる煙を追い出そうと窓を開けた。
「えー、みんなもう知ってると思うが。先日宇宙海賊"春雨"の一派と思われる船が沈没した。しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴等を壊滅させたのはたった2人の侍らしい……」
「「「えええええマジすか」」」
『あはは、白々しいなぁ!』
「もっとナチュラルにできねーのか」
「トシ、もういい、話が進まん」
バズーカ再び構えて隊士を脅す土方さんを近藤さんは制止した。うん、確かに話が進まなそうだよね、いつまでたってもね。
「この2人のうち1人は攘夷党の桂だという情報が入っている。まァ、こんな芸当ができるのは奴くらいしかいまい」
あっららー、もうバレてたわけね。
「春雨の連中は大量の麻薬を江戸に持ち込み売りさばいていた。攘夷党じゃなくても連中を許せんのはわかる。だが問題はここからだ。
その麻薬の密売に、幕府の官僚が一枚かんでいたとの噂がある」
仕事の話をする近藤さんの瞳は真剣そのもの、隊士たちも土方さんが持つバズーカの脅しなんかじゃなく、いつしか真剣に話を聞いていた。
「麻薬の売買を円滑に行えるよう協力する代わりに、利益の一部を海賊から受け取っていたというものだ。
真偽のほどは定かじゃないが、江戸に散らばる攘夷派浪士は噂を聞きつけ、奸賊討つべしと暗殺を画策している」
あ、総悟も黒こげだ、ざまーみろ!
「真選組の出番だ」