銀魂A
□第三章
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「とうとう尻尾出しやがった」
覗いた双眼鏡の先には全力で走る4人の姿があった。
「山崎、何としても奴らの拠点おさえてこい」
「はいよっ」
先頭を走る男は、土方が手に持つ手配書に写っている顔と同じ。
攘夷派過激浪士、桂 小太郎である。
「天人との戦で活躍したかつての英雄も、天人様々の今の世の中じゃただの反乱分子か…
この御時世に天人追い払おうなんざ、
たいした夢想家だよ」
クシャ
「オイ、沖田起きろ。お前よくあの爆音の中寝てられるな」
「爆音って…またテロ防げなかったんですかィ?何やってんだィ土方さん
真面目に働けよ」
「もう1回眠るかコラ」
土方が投げた丸めた手配書は背後で寝ていた少年の頭に向かって投げられ、変なアイマスクをとったその顔は真選組1番隊隊長とは思えない端正な顔だちだった。
沖田、と呼ばれた少年はさらにその背後で俯せに寝ている少女を見て舌打ちする。
「いやァ土方さん、俺をもっかい眠らせるよりも、未だに寝てるこの女起こしてくだせェ。いや、むしろ俺がこの女を永遠に眠り続けさせてやりまさァ」
『待て待て待てごめんなさい!起きるよ、起きます。狸寝入りしてすいません。許してください総悟様』
「ヒナ、お前本当、攘夷浪士の検挙嫌いだな」
勢いよく起き上がった陽向に土方は呆れた顔をする。
『嫌い、っていうか、』
命の恩人ですからね。
そんな一言が、口から発せられるはずもなく、陽向はにやり笑って言った。
『んー、まぁ天人の館がいくらフッ飛ぼうがしらんふりで、攘夷浪士泳がしてー、雁首揃ったところをー…斬れば、いい、んですよ、ねぇ…』
「キレの悪ィ言い方すんな、奴等の首まとめて叩き斬ってやんぞ。
…真選組の晴れ舞台だぜ。
楽しい喧嘩になりそうだ」
顔、合わせづらーいな、っと
苦笑して溜息をつく陽向を沖田だけは横目で見ていた。