るろうに剣心

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『っはぁはぁ』
「待てー」



「ねみぃ」

大きなあくびをしながら歩く左之助。すると前から走ってきた女とぶつかる

『きゃっ』
「おっと、わりぃ。大丈夫かぃ?」

手を差し伸べる

『はい、ありがとうございます』

差し伸べられた手を素直に掴まり立ち上がる

「ヒナ?(めちゃくちゃ似てる)」
『あの....そんなにじっと見られると恥ずかしいんですけど////』
「いや、知り合いに似てたもんだから」

「どこいったー」
『!!すいません、私はこれで』

頭を下げ、再び走り出す

「いたぞ!あっちだ」
「?」

不思議に思った左之助は後を追いかける



「見失っちまったか」

草むらの方から声がする

「こっちか?」


「逃げなくたっていいだろ?」
『っ』
「ボスがあんたに一目惚れしちゃってさ、ついてきてくれよ」
『嫌ですっ』
「そんなかたいこといわねーで「何やってんだおめーら」
「誰だっ」
『あっ』
「こいつ、まさか斬左じゃないか!?」
「俺を知ってんのかぃ」
「いったんずらかるぞ」

「大丈夫かぃ」
『はい、』

歩きだそうとしたら後ろが崩れ、川に落ちていく

『えっ?』
「!!」

(なんかこの光景…前にも)
「ヒナ!」

左之助も飛び降りる

「‥‥っはぁ」

かなり下流まで流されたのだろう。
川から身を出した左之助の視界には、洞窟内のような、岩場。空は突き抜けていて、月明かりだけがその場を照らしていた。

「……生きてる‥」

腕の中に一緒に落ちた女を抱いて、生きていることを確認するように大きく荒い呼吸をする。
川から上がると、その場に気を失った女を寝かせた。
なんとか火を興してびしょ濡れになった自分の衣服を乾かす。女の顔を見た

ヒナに似すぎだ…あいつは生きてるんだろうか…


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「何言ってんだよ、隊長」
「俺たちは、最期まで隊長といる!」
「それは、ダメだ」
「なんでっ」
「お前たちは逃げろ。逃げて生きるんだ。生き延びるんだ」
「でもっ」

総三は、左之助の肩に手を置く

「隊長?」
「陽向を任せたぞ」

もう一人の肩にも手を置く

「二人で、俺の分も陽向を守ってくれ」
「「っ」」

陽向を担ぎ、二人は走る

「幸せに生きろ、陽向」


「くそっ…ちくしょう」
『ん…』
「陽向!」
『兄様は?』
「……」
『ねえ、二人とも、兄様どこっ?』
「………隊長は俺達に逃げろって」
『!!あたし、戻る!!左之、おろして』
「ダメだっ」
『……そんなっ』


「追いついて来やがったな」
『兄様…』
「左之」
「あぁ」

立ち止まる二人

『どうしたの』
「ヒナ、お前は絶対生きるんだぞ」
『へ?』

気づいた時には川に落とされていた

「またな、陽向」
「絶対生き抜けよ」
『いやだ!左之!克ー!』


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女は大事そうに、赤いはちまきを握りしめていた

「大事な物なのか?………おい、起きろ、おい!」

頬をぺしぺしと叩いた。

『……ん…此処は?』
「さぁな、なんせ流されたから」
『…助けていただいて、ありがとうございました。あたし、リンと申します』
「俺は左之助」



『くしゅんっ』

ぐずっと鼻をすすり寒そうに自分の両肩をさする。

「……もっとこっち来いよ。そっちのがあったまる」
『!!左之助さん、その怪我……!』

ちっと舌打ちして頭をかく左之助の肩に、真新しい傷口を見つける。

「‥‥これは……別になんでもねぇよ」

……なんとなく覚えている。
川の流れに逆らえず、意識を手放しそうになったとき、誰かに身体を包み込まれた。大きくて暖かい、誰かに―……

『あたしをかばって岩に……』
「そんなかっこいいもんじゃねぇよ」
『見せて下さい……』

リンは近寄り左之助の腕を取る。

「これくらい平気……」

言い終わる前に、自分の襦袢の袖を破り、左之助の傷口を止血する。

『応急措置ですけど‥‥』
「おまえ……」

寒そうにしていたくせに、なんのためらいもないその行動

『だいたいあなた無茶しすぎです』

その視線に気付かず勢いよく顔を上げると二人は至近距離で眼が合った。

『「………っ////」』

顔を赤くして顔を逸らす二人。
静かな空気の中、パチパチと木の燃える音だけが耳に響いた。
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