ツバサ・クロニクル

□湖の国
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「で。どこなんだ ここは」


高麗国を発ち、次に着いたのは一面の湖と濃い霧が漂う国だった。
国といえるかどうかも怪しい。人の気配が全くしないのだから。
そういうこともあれば、黒鋼が発した言葉の意味も分かるだろう。


「おっきい湖だねぇ。家とかも全然見えないしね」

「人の気配も無いみたいですね。霧出てますし」


ファイと小狼が言った。だからといって黒鋼の言葉の答えになってはいないのだが。陽向がモコナに訊いた。


『サクラの羽根の波動はどう?』

「強い力は感じる」

『どこから?』


すると、モコナは腕組みをしていた手を解いて、湖を指差した。


「この中」

「潜って探せってのかよ」


モコナはゆっくりと頷いた。
陽向は諦めたように溜め息をつく。まぁ行くのならどうせ小狼になるだろう。
そんなことを思っていると、急にサクラが言い出した。


「私が行きま………す」

『わっ!』


倒れていくサクラを、慌てて支える。サクラは陽向の胸の中で静かに眠っていた。


『春香の所で頑張ってたもんね』

「休ませてあげよっか。サクラちゃん」


黒鋼・ファイ・小狼が枯れ枝を拾い集め、陽向が焚き火をするのに最適な場所を見つける。
湖に面していて、焚き火が出来る広さがあり、サクラが寄りかかる木がある。
木にの根元にサクラをそっと寝かせる。
そして、ファイが着ていたコートを優しくかけた。


『これでいいね。あとは湖に潜る人と人を探す人に分かれたいんだけど…』

「湖にはおれが潜ります」


小狼が名乗り出た。
やっぱり。予想通りだ。


『分かった。じゃぁ残りは人探しだね』

「小狼大丈夫ー?」


モコナが問うが、小狼は笑顔で頷く。


『無茶しないようにね。んじゃっ』


それぞれ 自分の目的に向かって歩き出した。
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