3部

□もう少し
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ななしは人生でトップ5には入るであろうピンチにさらされていた。
ななしはこの前の期末テストで赤点をとってしまったために、追試を受けることになっていた。


もちろんその追試を落ちてしまえば、楽しい夏休みも講習一色の夏休みになってしまう。しかしななしは高校最後の夏休みは、どうしても満喫したかった。


『ヤバいね、どうにかして講習は回避しなくては。』

その日からななしの勉強漬けの日々が始まった。



「ねぇ、ななし。あんた目の下のクマすごいよ。」

『昨日もちょっと無理しちゃった。今週追試だしさ。』

「勉強もほどほどに、体壊したらもともこもないからね!」

『わかってるって、私の夏休みは誰にも渡さないッ!!』

「わかってないじゃん……。」

朝から友人に指摘されるほど、ななしは今週に控える追試のためにラストスパートをかけていた。
そのためもちろん授業中は爆睡。



「オイ、ななし。てめぇ授業中爆睡してただろ。」

『承太郎か。サボってばっかのあんたに言われたくないんだけど。』

「うちのおふくろから言われたんだよ。てめぇが最近元気ねぇって。
勉強もいいが、無理すんなよ。」

『あれっ!?承太郎心配してくれてれてるの?』


にへらと笑いながら聞いてくるななしに、承太郎は睨みながら言った。

「勘違いするな。おふくろに言われただけだ。」

『おー怖いねー。ホリィさんに心配してくれてありがとうございますって伝えておいて。』

承太郎とななしは幼なじみで、特にホリィとは親子のように仲が良かった。





次の授業は体育で、珍しく承太郎も授業に出ていた。体育館を半分ずつ使い男女別に体育を行っていた。

ななしは徹夜明けということもあって、フラフラだった。


するといきなり「危ないッ!!」という声が聞こえて、ななしが顔を上げた瞬間……。



ゴンッ!!!!



注意不足のせいかボールはななしの顔面に直撃。これがバスケットボールだったので、あまりの衝撃にななしは気絶してしまった。
しかも顔面にあったことで、まぬけにもななしは鼻血を出して倒れていた。



女子たちのその騒ぎに男子達も気付きだしていた。
壁にもたれかかって居眠りをしていた承太郎も騒がしさに目を覚ますと、女子に囲まれながら倒れているななしが目に入った。

承太郎は、はっとするとその時スデにに足はななしの方へ向かっていた。


「うっとおしいッ!!散れッ!!」

承太郎の突然の登場に女子たちはキャーと騒ぎだすが、承太郎はそんなのお構いなしに一蹴し、女子ななしへの道を開けさせると、承太郎は迷うことなくななしを優しく抱き上げて、保健室に連れていった。


その間もキャーという声は絶えなかったが、承太郎はまったく気にもせずななしへの心配で胸が一杯だった。




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