「そういえば、お前いつも花京院とゲームの話してるよな。」
『えっ聞こえてた?うわーなんか恥ずかしいな。』
「俺もゲーム人並みにはするぜ。格ゲーとか。」
『あはは、承太郎くんめちゃくちゃ強そうだね。ていうか、承太郎くんがそのまま格ゲーのキャラでも違和感ないよ!』
「そ、そうか。」
昼休みの間俺たちは他愛ない会話をした。
俺的には、初めて話すにしては上出来だったと思う。
『なんか承太郎くんと初めて、たくさん話せてよかったな。私花京院以外に話せる男子いないからさ。』
ここで花京院の名前が出てきたのは正直イラついたが、不覚にもこの言葉にドキっとして、学帽をまたかぶり直した。
「明日も屋上行っていいか?」
ななしは一瞬驚いたような顔をするが、すぐに笑顔でもちろんだよ、と答えてくれた。
それから、俺とななしが昼休みに屋上へ行くのが恒例になった。
話すたびにななしが俺に心を開いてくれているのがわかった。
そして、その度に俺のななしへの思いは大きくなる一方で、この気持ちを隠し続けることが出来なかった。
「お前が好きだ。」
告白してしまった。
するとななしは顔を真っ赤にして、弁当を抱きながら屋上を飛び出していった。
その日からななしは屋上に来なくなった。
しかも教室でも目があっただけで、慌てたようにすぐ逸らされるようになってしまった。
『ねぇ花京院、私承太郎くんに告白されちゃった。』
「承太郎がかい?手が早いな。」
うん、思ったより早い。
さては承太郎、ななしが可愛すぎて咄嗟に言ってしまったんだろう。
『ん?なんか言った?』
「なんでもないよ。でななしはなんて返事したんだい?」
『もう恥ずかしすぎて、逃げちゃったんだ。承太郎くんと目が合うとドキドキしすぎて死にそうになるし……。私病気なのかな?』
「ななし、それは恋だよ。君は承太郎に惚れてるんだ。」
おい、このセリフどっかで聞いたぞ。
2人揃って鈍いんだからまったく、やれやれだな。
『えっ!!!……そっか私承太郎くんが好きなのか。』
「乙ゲーばかりのななしが現実を見てくれて嬉しいよ。」
『なんか意識したら、今まで以上に恥ずかしくなってきた。助けて!花京院!』
「まぁ自分でなんとかするんだね。」
ほら、ライオンは自分の子供を谷に落とすって言うじゃあないか。
そんな感じ。
僕は応援してるよ。承太郎にななし。
とはいいつつも、ななしが承太郎を避けるのが、あからさますぎて見てるこっちは笑えてくる。
本人達にとっては、大問題だけどね。
あーほらまた、目を逸らした。
また話し掛けられても逃げていった。
承太郎のこめかみに血管浮き出てる。相当イラついてるみたいだ。
おっと、
承太郎が逃げていったななしを追い掛けていったぞ。
やっと新展開だ。詳しいことは後から2人から聞かなくちゃね。
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