それから約2ヵ月後。
承太郎が日本に帰ってきた。
承太郎だけ。
『ねぇ、花京院は?承太郎。一緒じゃないの?』
「花京院は……死んだ。」
『そうゆう冗談、タチ悪いよ!笑えないから。』
「嘘じゃねぇよ。俺だって信じたくねぇよ……。」
そういって帽子を深くかぶり直す承太郎。
『だって!だって、花京院私のために帰ってきてくれるって言ったッ!』
「事実を受けとめろ、ななし!!」
その瞬間、我慢していた涙が溢れてくる。
そんなななしを慰めるように承太郎が頭を撫でる。
『ッ……。ねぇ承太郎。私、これからは死んだ花京院のために生きる。
花京院以外の人は絶対好きにならない。花京院だけを思い続ける。』
「それは間違ってる。お前は花京院の分まで生きるんだ。
きっとあいつは、死んだ後も自分を思われたって嬉しかねぇ。
お前の幸せがあいつの幸せだ。」
泣き崩れるななしに続けて言う。
「今は辛いかもしれねぇが、しっかり前向け。現実から逃げねぇで向き合え。
辛いのはお前だけじゃねぇ。」
『……うん。』
承太郎がいつも傍にいてくれたからか、しばらくして普段の生活でもななしにも笑顔が戻ってきた。
そして10年後、
ななしと承太郎は結婚した。
辛い時、いつも傍で支えてくれた承太郎を友達としてではなく、異性として好きになった。
花京院には少し申し訳なく思ったが、承太郎とだったら花京院は祝福してくれているに違いないとななしは思っていた。
毎年2人で花京院の墓参りに行くことが、高校3年の年から恒例になっていた。
承太郎もななしの中の花京院を大切にしてくれる。
、
『花京院…。私承太郎と結婚する。花京院の分まで幸せになるからね。』
「花京院、俺は必ずななしを幸せにする。だから、見守っていてくれ。」
『私本当に花京院が大好きだった。ううん、今も大好き。・・・また来るからね。』
きっと2人の言葉は花京院に届いているだろう。
そして2人の心の中に花京院はいつまでも生き続ける。
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