3部

□友情と愛情
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『承太郎ー!一緒に帰ろう!』

「やかましい、大声だすんじゃねェよ」

『あはは、ごめんごめん』

「悪ぃな。先公に放課後呼び出しくらってんだ。今日は1人で帰ってくれ」

『また?承太郎君は不良中の不良だもんね』

「テストでは点とってんだから、別にいいだろ」

『ホント嫌みだわ!不良で頭いいから、先生だっていっそういい気しないんだよ』


「相変わらず、仲がいいね。お二人さん」

『花京院!』

「承太郎が帰れないなら、僕と一緒に帰ろうか。いいよね、承太郎?」

「勝手にしやがれ」



ななしと承太郎は、家が近所で家族ぐるみで仲がよい。
そして高校に入ってから、ななしの告白で二人は付き合うようになった。

一応承太郎はモテるため時々ななしは女子からの嫌がらせを受けることもあるが、
承太郎が守ってくれるためななしはあまり気にしていない。

というか、ななしの性格がお気楽なので、そういうのに疎かった。



「ななしさん、JOJOと付き合ってるのに、花京院君と一緒に帰ってるとかありえないんだけどー!!」

「うわーホントだ。二股じゃない?サイテー!!」

「ていうか、あの子ブスのくせにJOJOの恋人だなんてっ!」

トリマキの女子達はわざと聞こえるようにいってくるため、二人の耳にはしっかり届いていた。


『ちょっと!ちが…っ』

「僕らはそんなんじゃない。ただの友達だよ」

弁解しようとしたななしを遮って、花京院が微笑みながらそう言った。
花京院の笑顔に、女子達は少し顔を赤らめながら、きゃーと騒ぎながら走って去っていった。


『ありがとう。私承太郎と花京院に守ってもらってばっかだ』

「いいんだよ。ななしは僕らに守られていればいい」

『ちょっと、甘い言葉サラッと言わないでよ!そういうことは好きな子に言ってあげなくっちゃ』

「ははは」

こんな他愛ない会話をしながら、2人で仲良く帰っていた。





その日の夜

『承太郎、明日提出の宿題見せて!』

「俺がやってるわけないだろ」

『なら教えて下さい!』


ななしと承太郎はお互いの家を、自分の家のように行き来している。
まあ、その大半はななしが承太郎の家に押し掛けているのだが。


『……あっ、わかった。あとは計算するだけだね。』

「ようやくわかったか。解き終わったら起こせ。どうせ、お前計算遅いだろ。その間俺は寝てるから」

そう言ってベッドに横になる承太郎。すぐに眠ってしまったようだ。


『終わったッ!』

宿題をようやく終えたななしがふとベッドに目を向けると、ぐっすり眠る承太郎がいた。
ななしはベッドの方に近づいていき、普段は帽子をかぶっているためよく見えない承太郎の顔を見つめる。

その整った顔を見つめながら、頬に手をすべらせた。少しくすぐったそうにする承太郎にクスリと笑った。





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