ジョルノとネアポリスでデートしていたら、タイミング悪く私の元カレと遭遇してしまった。
ジョルノと付き合う前に付き合っていた彼氏で、あっちの浮気が原因で別れたんだ。
あの時は本当にすきだったけど、今はもう未練も何もない。
今の私にはジョルノがいる。
別に話すことはなかったから、目はあったけど無視して通り過ぎようとしたら、腕を引っ張られた。
元カレは無視されたことに腹がたっているらしく、なんか色々と文句を言っていった。
趣味悪ぃーな、と元カレがジョルノに言った時はジョルノのこめかみに血管が浮かんでいた。
お前も私と付き合っていただろうが、と思ったが状況を悪化させないためにもグッと飲み込んだ。
その後のデートは最悪だった。
私が何を話し掛けても、ジョルノは不機嫌そうにそうですねって返事するだけ。
何を言っても無駄だと思って私も話し掛けるのを止めると、本当に無言になってしまった。
しばらく無言で歩いているとジョルノがようやく口を開いた。
「今日ななしの家に行ってもいいですか?」
『いいけどその前に夕飯の買い物に行かせて。』
「わかりました。」
買い物を終えると、紙袋をジョルノは無言で私から奪っていった。
ずんずん進んでいくジョルノを私は必死で追い掛ける。
私よりも先に家に着いたジョルノは、私の家の合鍵で扉を開け、私もジョルノに続いてリビングに向かっていく。
ジョルノが座っているソファーに少しだけ隙間を空けて隣に座ると、勢い良く肩を抱かれて顔を近付けられる。
「僕がなんで怒ってるのかわかりますか?」
『私の元カレのせいでしょうか?』
「あいつ僕のこと趣味悪いって言いやがった。」
『あぁ、そっちか。』
いつもは素っ気ないジョルノが、元カレに会ったことで嫉妬してくれてるかも、だなんて少しでも期待した私がバカだった。
「僕に機嫌直してほしいですか?」
『まぁ出来れば直してほしいよね。』
「ならななしの方からキスして下さい。」
『……はぁ?』
「いつも僕からばっかりじゃあないですか。」
『まぁそうだけど。』
「ほら、早くしろ。」
そう言って目を瞑るジョルノはいつみても麗しい。その美しさに見惚れていたが、私からキスをしない限り機嫌を直しそうには見えないので、仕方なくジョルノの口に触れるだけのキスをした。
当然そんなんでジョルノが満足するわけもなく、
「こんなのを僕が求めているとでも?」
とか言って、呆れたようにため息をついた。
なんかその態度がムカついて、私はジョルノの後ろで結われている三つ編みを引っ張って、唇を奪ってやった。
いつもはジョルノが私の舌を追い掛けて絡めてきたり、吸ったりするけど、今回は逆。
見よう見まねでだったけど、私だって出来るんだ、ってジョルノに思わせたかった。
ふとジョルノがどんな顔をしているのか気になってうっすら目を開けてみると、ジョルノは目を開けてキスする私をずっと見つめていた。
ジョルノは私と目があうとにっこりと笑った。私は恥ずかしさで死にそうになった。
キスを止めるとジョルノはもう終わりですか、と不満そうに言ってきた。
でも私はまたからかわれてたんだと思うと、無性に怒りが込み上げてジョルノに背を向けてソファに座った。
「今度はななしの機嫌が悪くなりましたね。」
『またからかったジョルノが悪い。』
「でも一生懸命キスするななし、最高に可愛かったですよ。」
そう言って後ろからジョルノは私を抱き締めるが、一向に振り向きそうにない私に、ジョルノは耳元で話し始める。
「こっち向いて下さい。」
『やだね。』
「ホント頑固ですよね、ななしって。」
『頑固で結構。』
「ねぇ、さっきは僕が怒った理由を趣味が悪いと言われたことだと言ったけど、それは嘘です。
僕はななしの元カレに嫉妬したんだ。」
「僕は僕の知らないななしの過去全てに嫉妬してしまう。」
私は思わず後ろを振り返ると、僕の勝ちだ、と言ってその瞬間キスされた。
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