5部

□挑戦者
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「ただいま。また遅くに帰ってきちゃったよ。」


ヘラヘラと笑いながらきつい酒と香水の匂いをさせたメローネに、リゾットが「いいかげんにしろ。」と帰ってきて早々説教を始めた。
その横で私と一緒に飲んでいたプロシュートが、チラッと私の様子を窺った。

その視線に気づいてはいたが、私はわざと気づかぬ振りをしてグイッとグラスの残りの酒を流し込むと無言で部屋に戻っていった。




メローネは任務のない夜はたいてい夜遅くに帰ってくる。
いったい何をしているのかというと、彼の首元にある真っ赤な跡で想像はつく。


メローネと付き合ってかなり経つ。
元からこうゆう奴だって知っててこいつを好きになった。いや、好きになってしまったんんだ。

初めはそんなメローネは嫌で嫌で、自分だけを見てほしかった。私はいろいろ悩んで、そうゆうのに慣れてそうなプロシュートに相談を持ちかけたりもしていた。
一方メローネは、そんな私を見て至極嬉しそうな目で私を見ていた。


それで気づいた。
あぁ、メローネは私をバカにして楽しんでいるんだ。



その日から私はメローネに対して何も思わないようにした。メローネからどんなに女の子の甘い香水の匂いがしようとも、服についた口紅を見かけようとも無であり続けた。

そこまでしても私が別れようと思わなかったのは、仕事に支障をきたさないため。


・・・・いや嘘だ。本当の訳は、メローネにどんなことをされても彼を嫌いになんてなれなかったから別れたくなかった。
プロシュートには、仕事のことを理由に話していた。浮気をされていても、まだ好きでい続ける惨めな女だと思われたくなかったんだ。



メローネはほかの女は抱くものの、私との関係がなかったわけではない。
メローネが私を抱くとき、普段とは違う優しく甘い声で私の名前を呼ぶ。行為もあの変態な装いからは想像できないくらい、至極優しかった。

だから勘違いしてしまうんだ。
メローネがもしかしたら私だけを見てくれているんじゃないか、そんな淡い期待をもってしまう。


でも隣ですやすやと眠る天使のようなメローネの寝顔を見ながら、毎回自分に勘違いはよせと言い聞かせる。



こんな精神ボロボロな私は、メローネと付き合っているという肩書だけに縋っていた。
ほかにも恋人はいるかもしれないと分かっていても、その肩書だけに私は支えられていた。






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