それからななしとメローネは距離を置くようになった。と言っても、ななしが一方的にメローネを避けていた。
食事など顔を合わせる時には、ななしはメローネからの視線を感じていたがわざと気付かない振りをしていた。
そんなメローネを不憫に思いながらも、他のメンバーは口を出してもしょうがないと思い、何も言ってこなかった。
しかしななしと話せないのが我慢できなくなったメローネは、ななしにプレゼントをすることにした。
すべてはななしの笑顔が見たいから。
ぬいぐるみやケーキ、ドレスやネックレスなどななしの喜びそうなものは全部用意した。
「ななし、喜んでくれるかな……?」
大量のプレゼントを抱えてメローネは緊張しながら、久しぶりにななしの部屋を訪れた。
――――コンコン
『はーい。』
ななしが扉を開けると、目の前にクマのぬいぐるみやら、ケーキの箱やらが飛び込んできた。
「あっオレ、メローネ。ちょっと部屋に入れて。……ッ、変なことしないからッ!!」
『……入っていいよ。』
部屋に入ってプレゼントを置いたメローネは数日ぶりにななしの顔を正面から見た。
「……ッ!!」
なぜか泣くつもりはなかったのに、メローネはななしの顔を見れたことが嬉しくて泣きだしてしまった。
『ちょっ、ちょっとどうしたのよッ!!』
「うっ…、ななし……。」
『ほらッ!!泣いてちゃわかんないからね。』
「……ななしにオレ、喜んで欲しくて……。ななし、オレのことキライにならないで…。」
そう言って泣き止まないメローネを、愛おしく感じたななしは思わず抱き締めた。
『キライになんかならないよ。
メローネの重たすぎる愛も頑張って受けとめるから……、だからもう泣かないで?』
「ホント?オレが何してもキライにならない?」
『程度によるけど、ほどほどにね。私も冷たくしてごめん。』
「うんッ!!ななし、大好きッ!!」
より力を込めて抱きついてくるメローネ。
ななしはその勢いに耐えられずに、床に倒れこんでしまうとメローネの背中を叩いた。
『ちょっと重いから、どいてね。』
「いやだ。」
『って、今仲直りしたばっかりじゃんッ!!』
「やっぱり怒った顔もベネッ!!」
『ごまかすなッ!!』
「オレがどれだけ我慢したと思ってるの?」
身をよじるななしの耳元に顔を近付けてメローネは囁いた。
「オレがどんなに愛してるか、たっぷり教えてあげる。」
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