5部

□伝わらない気持ち
2ページ/2ページ



それからななしとメローネは距離を置くようになった。と言っても、ななしが一方的にメローネを避けていた。

食事など顔を合わせる時には、ななしはメローネからの視線を感じていたがわざと気付かない振りをしていた。

そんなメローネを不憫に思いながらも、他のメンバーは口を出してもしょうがないと思い、何も言ってこなかった。



しかしななしと話せないのが我慢できなくなったメローネは、ななしにプレゼントをすることにした。

すべてはななしの笑顔が見たいから。


ぬいぐるみやケーキ、ドレスやネックレスなどななしの喜びそうなものは全部用意した。

「ななし、喜んでくれるかな……?」


大量のプレゼントを抱えてメローネは緊張しながら、久しぶりにななしの部屋を訪れた。




――――コンコン


『はーい。』

ななしが扉を開けると、目の前にクマのぬいぐるみやら、ケーキの箱やらが飛び込んできた。


「あっオレ、メローネ。ちょっと部屋に入れて。……ッ、変なことしないからッ!!」

『……入っていいよ。』


部屋に入ってプレゼントを置いたメローネは数日ぶりにななしの顔を正面から見た。

「……ッ!!」

なぜか泣くつもりはなかったのに、メローネはななしの顔を見れたことが嬉しくて泣きだしてしまった。


『ちょっ、ちょっとどうしたのよッ!!』

「うっ…、ななし……。」

『ほらッ!!泣いてちゃわかんないからね。』

「……ななしにオレ、喜んで欲しくて……。ななし、オレのことキライにならないで…。」

そう言って泣き止まないメローネを、愛おしく感じたななしは思わず抱き締めた。


『キライになんかならないよ。
メローネの重たすぎる愛も頑張って受けとめるから……、だからもう泣かないで?』

「ホント?オレが何してもキライにならない?」

『程度によるけど、ほどほどにね。私も冷たくしてごめん。』

「うんッ!!ななし、大好きッ!!」


より力を込めて抱きついてくるメローネ。
ななしはその勢いに耐えられずに、床に倒れこんでしまうとメローネの背中を叩いた。


『ちょっと重いから、どいてね。』

「いやだ。」

『って、今仲直りしたばっかりじゃんッ!!』

「やっぱり怒った顔もベネッ!!」

『ごまかすなッ!!』

「オレがどれだけ我慢したと思ってるの?」


身をよじるななしの耳元に顔を近付けてメローネは囁いた。








「オレがどんなに愛してるか、たっぷり教えてあげる。」





前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ