7部

□Than me!
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ジャイロは髪が長い。

ヴァルキリーに乗った時になびくその長い髪は、見とれるくらいに綺麗。
女の自分よりも少し長いそれは、馬に乗っていれば砂や潮で痛んでいてもいいくらいなのに。



だから私はジャイロの髪を触るのがすごく好きで、今も髪をポニーテールに束ねて遊んでいる。

「ヴァルキリーの尻尾みたいだな。」
ジャイロが自分の髪を触りながら笑った。


高めに結われた髪はジャイロが動くたびにゆらゆら揺れて、そのたびに、ジャイロの普段は髪で隠れているうなじが見えている。

私がそのうなじに唇を近付けてキスをすれば、いきなりのことで驚いたのか、ジャイロは「おいおいおいおい」と私の方を振り返った。


「どうかしちゃったのか?名無しちゃんよぉ。」

『ジャイロの髪が綺麗でうらやましい…。』

「オレはおまえの髪の方が好きだけどな。」

『ううん、ジャイロのが長いしサラサラだよ。ほら、こんなに…。』


そう言ってまた髪に手を伸ばそうとすると、その手をジャイロに掴まれた。





「オレ、なんかおまえに髪触られるとヘンな気分なるの、知ってた?」





ジャイロは掴んだ手を強く自分の方に引っ張ると、その勢いのまま私にキスをしてきた。

キスがだんだんと深くなると、ジャイロが私の髪を握り掴んで後頭部を固定した。

私もやられっぱなしじゃ悔しいから、ジャイロの一束にまとまった髪を掴んでやる。




倒れこんでますます縮まった2人の距離は、その行為をますます加速させる。
ジャイロが名無しの服の中に手をいれると、名無しはそれを制止した。


『ちょっとまだ真っ昼間なんだけど。』

「オレをソの気にさせたのおたくだからね、責任とってね。」

『ちょっ…、んっ……!』



その間もジャイロは私の髪を指で弄んでいた。

だからかな、私もそういう雰囲気に流されたのは。









結局最後までジャイロのペースにのまれたまま、事を終えた。
私がジャイロの隣でぐったりして寝ていると「やっべ!!」という声がして目を覚ました。


『…ジャイロ、どうかしたの?』

「午後に診察が入ってたんだった!!父上に怒られるッ!!」


焦りながら着替えるジャイロを、寝呆け眼で見つめていると、準備が整ったらしく、ジャイロはいってきますと言って部屋を出ていこうとした。

私はいってらっしゃいと言った瞬間、ジャイロのポニーテールを引っ張って顔を近付けさせると、チュッと軽くキスをした。



『頑張ってねのオプション付き。』




するとジャイロは顔を真っ赤にして手で口を押さえながら、「夜も覚悟しとけよ」と言って病院に向かっていった。





窓から見える、走るとなびくジャイロの髪がまた恋しくなった。





 

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