「おいななし、ちょっと付き合え。」
私が仗助と億泰、その後ろの少し離れたところに康一くんと由花子が並んで一緒に下校をしていた。
すると私たちの横に見慣れた外車が止まったと思ったら、その車からは思った通り露伴先生がでてきた。
いきなりそんなことを言われれば当然驚くわけで。私がは?と聞き返していると、露伴先生は私の腕を掴んできた。
ひっぱられるようにして車の助手席に座らされる。その時、露伴先生が閉めようとしたドアを仗助が制した。
「なんすか、いきなり。ななしのことどこ連れてく気すか?」
露伴先生はあからさまにイヤな顔をして、チッと舌打ちをした。
それを見た私は慌てて
『大丈夫だよ仗助。ちょっとついてくだけだし。』
「でもよー。」
『今日はごめんね、また明日一緒に帰ろう。じゃあね。』
「……あぁ。」
仗助の返事を聞くと私はにっこり笑ってゆっくりドアを閉めた。
そして露伴先生は運転席に回りエンジンをかけて車を発進させた。
『ごめんなさい先生、待たせちゃって。』
「別に謝ったところで時間が戻るわけじゃあないだろう。」
『……ごめんなさい。』
本日2回目の舌打ち。
私といる時いつも先生は不機嫌だ。だから私は先生をなるべく怒らせないように気を使う。
でもそれがまた先生の癪に触るらしい。
露伴先生からの突然の告白で付き合い始めた私たち。なんで告白されたのか未だにわからないんだけれども。
露伴先生とはカメユーデパートに行ったりトニオさんのカフェに行ったり、いつも通りの取材のようだった。
取材の間も先生の邪魔をしないように、デパートではスタスタ歩く先生の数歩後ろを付いていったし、カフェで道行く人をスケッチする先生の隣で黙ってオレンジジュースを飲んでいた。
すっかり辺りは真っ暗になっていた。
夜の電灯に照らされている露伴先生の横顔を盗み見ていると、運転中の先生も横目でちらっと私を見た。
思わず目をそらしてしまうと、露伴先生が「少し話をしないか?」と言って近くの駐車場に車を止めた。
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