『ろーはん!』
「いきなり抱きつくな!暑苦しい!」
『いいじゃん、へそ出してんだし暑くないでしょ』
「そういう問題じゃあない」
『てか露伴腰細すぎ、あたしより絶対細いよね…』
「ハッ、君が太いだけだろう」
『言ってくれるねぇ…。気にしてんのに』
「せいぜい痩せるのに努力するんだな!」
ななしは露伴の腰に抱きつきながら恨めしげな視線を露伴に送った。
その露伴といえばその視線を物ともせず、勝ち誇ったような顔でななしを見下していた。
『もう露伴ってば嫌みばっかり』
「そういうぼくが好きなのはどこのどいつだ?」
『…ッ!もう知らないから!』
「知らないもなにも、君のほうから勝手にやってきたんじゃあないか!?」
『ほっんとかわいくない…ッ!』
「別に結構だね」
『もうかまってくんないなら帰るからッ』
「あぁ仕事の邪魔だぜ。かえれかえれ」
『ムカつく!』
ななしがドタドタと大きな足音を立てながら廊下を歩き、バタン、と勢いよく玄関の扉が閉める音がした。
露伴は、いつもは何を言っても引き下がらず自分の側にいようとするななしのまさかの行動に驚いていた。
そして1人、残された仕事部屋でもやもやとしていた。
なんだななしのやつ、本当に帰ったのか。
ちょっと言ったくらいですぐ怒りやがって、あいつには忍耐という言葉をしらないのかッ?
別に少し言い過ぎたとか思ってないからなッ!
ぼくは悪くないぞ…!
まぁ明日あいつがまた来るって言うなら、ケーキを買ってきてやらんこともないがな。
明日くらいは相手をしてやるか。
露伴は自分で、明日は構ってやるという結論に至ると、心のもやもやがなくなったような気がした。
,