「わりぃ!今日も一緒に帰れないんッスよー。」
『あっうん、わかった。』
「本当にごめんな。」
『大丈夫だから、じゃあね!』
「あぁ、また明日な!」
今日も仗助が一人で帰ってしまう。
仗助は学校が終わると誰よりも早く教室を出て帰ってしまう。
付き合ったばかりの頃は家の方向が一緒というのもあって、毎日一緒に帰ってたけど最近はずっと一緒に帰れていない。
今までこんなことなかったから、無性に不安になる。ただそれだけのことかもしれないけど、私にとっては不安要素でしかない。
仗助は女子からすごく人気があるから。
自分が告白された時も、なんで自分なのか、もっと可愛い子じゃないんだろうと思った。
でもその時は、驚いたけど死ぬほど恥ずかしくて、死ぬほど嬉しかった。私は仗助のことずっと好きだったから。
仗助が私のことを好きって言ってくれたことを疑うわけじゃあないけど、もう私に飽きちゃったのかなって思う。
ほら、仗助の周りには女の子がよりどりみどりだから。
いつまでも自信を持てない私自身を自分で情けなくおもうけど、仗助をかっこいいっておもう度にその思いはつのっていく。
もう私の頭の中は仗助のことでいっぱいで、毎日が何もせずに過ぎていく。
ただ学校に行ってただ勉強して寝る、その繰り返しでしかなかった。
仗助もいつも授業中は寝てるけど、最近はその睡眠時間が今までよりもうんと長くなっている気がする。
仗助の大きな瞳もいつも少し閉じ気味だし、その下には結構なクマがある。
仗助も疲れてるのかな?
そんなことを思いつつ、私はひたすら黒板の文字をノートに写していた。
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