次の日、いつもならななしが仗助の部屋まで起こしに来て一緒に登校していたが、その日はななしではなく朋子が仗助を起こし1人で登校した。
教室につくとすでにななしは学校に来ていたようで、ななしはふっと仗助の方を見たので2人は目があったが、すぐにななしは目を反らした。
仗助はチッと舌打ちをして自分の席にドガッと座ると仗助の席に億泰が近づいてきて、「昨日ななしちゃん、イケメンな先輩に告られたらしいぜ!」とニヤニヤしながら言って来た。
仗助は無表情で「あぁ知ってる。」というと、億泰はさらに追い討ちをかけるように「あれだけイケメンなら、付き合っちゃうかもな。ななしちゃん奴にとられちゃうな!」と笑いながら言ってきた。
ぷちん、と仗助の中で何かが切れる音がした。
「どこのどいつかもわかんねぇ奴にななしを渡せるかよッ!!」
クラス全体に聞こえるような大声で叫んだ仗助は、ななしの方へとむかっていきななしの腕を引いて屋上に連れていった。
急なことで、状況を理解していないななしは黙って仗助についていった。
『ちょっと…、急にどうしたのよ。』
「あぁわりぃー。痛かったよな。」
『用がないなら、私帰るから。』
「待ってくれよー!………先輩にはもう返事したのかよ……?」
『まだだけど。仗助に関係ないじゃん。』
「関係大アリだぜ。その告白断ってくれ。
……俺にはお前が必要なんだよ。」
『………それって自分の世話係がいなくなると、不便だからいってるんでしょ…?』
「違う。俺はななしを恋人として傍に置いときてぇーんだ。お前が好きなんだよ。」
『……嘘ッ!!だって昨日……。』
「あれは……、その照れ隠しってやつで。」
そう言って頭をかく仗助がななしはたまらなく愛しくなって、涙で瞳を一杯にしながら勢い良く仗助に抱きついた。
『私…、ずっとずっと好きだったんだからね……ッ!!』
「俺も好きだった。」
『昨日は本当にショックだったんだからね。』
「ごめんな。そんな思いさせるつもりはなかったんだけどな。」
苦笑いをする仗助に、ななしがチュッと触れるだけのキスをすると仗助は耳まで真っ赤にしてななしを見つめた。
『私を悲しませた罰よ。』
そう言って綺麗に笑うななしに仗助が何も言わなくなると、『どうしたのよ?』とななしが声をかけた。
「あんまりお前が綺麗だから見惚れてた。」
『仗助ッ!!起きてよ、もう朝だよ!』
「あと5分くらいいいじゃねぇかよぉー。」
『それ何回目よッ!?ほらさっさと……キャッ!!』
布団をめくろうとしたななしの腕を引いて、仗助は自分のベッドに引きずりこんだ。
そしてななしの上に覆い被さるとななしの首に顔を埋めてきた。
『学校遅刻するから…ッ、ってちょっと手離しなさいッ!!』
「一限目サボろうぜぇー。」
『もう、言っても聞かないんでしょ?』
ニヤリと笑った仗助は「愛してるぜ、ななし。」と言って深いキスをしてきた。
ななしの恋人兼世話係はまだまだ続きそうだ。
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