銀魂倒幕編’(幕府VS天人)

□プロローグ
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空は薄暗く、血の臭いと死臭の漂う戦場の真っ只中にその少年は居た。
いや、少年というよりはまだまだ幼いようだ。

その幼子は、この江戸時代には珍しいキラキラ光る銀髪に真っ赤な瞳を持っていた。

幼子は周りの死体の懐をゴソゴソと探る。そして、目当ての物を見つけるとその物を手に取り近くの岩へと腰掛けた。
幼子の目当ての物はどうやら握り飯のようである。幼子は握り飯を手に取ると小さなお口でムグムグと食べ始める。

そんな幼子の背後から長い髪の青年が近付いてきた。幼子はその青年に気付かない。
青年は幼子の頭に優しく手を置いて言った。

「『屍を喰らう鬼』がいると聞いて来てみれば君がそう?」
幼子は突然頭に手が置かれたことと、青年の言葉にビクッと身体を震わし、バシッと青年の手を退けさせ即座に距離を取った。

「また随分と可愛い鬼がいたもんですね」

青年は幼子の様子を気にせず、言葉を続けた。幼子はそんな青年に警戒を表し、刀へと手を向ける。

「それも屍から剥ぎ取ったんですか?童一人、屍の身ぐるみを剥ぎ、そうして自分の身を護ってきたんですか。たいしたもんじゃないですか。………だけど、そんな剣――もういりませんよ」

青年は幼子ににっこりと微笑み、腰にさしてある刀を握った。幼子は腰を低くし、いつでも刀が抜けるよう構えた。

「他人に怯え、自分を護るだけにふるう剣なんてもう捨てちゃいなさい」

青年はそう言うと腰にさしてある刀を抜き、幼子へと投げてきた。
幼子は驚き、慌ててその刀を受け取った。

「くれてあげますよ私の剣。そいつの本当の使い方を知りたきゃ付いて来るといい」

青年は無防備にも幼子に背を向けると歩き出した。

「これからはそれをふるいなさい。

敵を斬る為ではない。

――弱き己を斬る為に

己を護るのではない

己の魂を護る為に……」


幼子は青年と受け取った刀を何度も何度も見比べた。そして…………

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