月の守護者

□結婚のためなら手段は選ばない
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ここはイタリアにあるボンゴレ本部の豪邸。
その豪邸のある一室で二人の青年が向かい合って椅子に座って何かを書いていた。
一人はツンツンとした茶髪の青年、年は童顔のせいかパッと見、少年のようだ。
しかし、パリッと着こなしたブランド物のスーツに王者の風格を感じさせる琥珀色の瞳から察するにすでに成人していると思える。
一方、茶髪の青年の反対側にいるのはキラキラと輝くような銀色の髪を持った青年。こちらは茶髪の青年とは違い、年相応の整った顔立ちをしている。一見、イケメンに見えるが残念ながら銀髪の青年が持つ気だるげな雰囲気と死んだ魚のような緋色の瞳が全てを台無しにしている。

「なぁ、ツナ。今回の書類書くの多くねぇ?」

銀髪の青年は書いていた書類から顔をあげると向かい合っている茶髪の青年に話しかけた。
茶髪の青年改めましてツナは書類から顔を少しあげ、申し訳なさそうに眉を下げる。

「すいません、銀時さん。なんか今、他で揉め事があったようで……書類が回されてきちゃって」

「揉め事ねぇ」

ツナの言葉に銀髪の青年改めまして銀時は眉を寄せる。ボンゴレ本部では守護者や周りが個性的なせいかよく揉め事が起こる。
少し前もどこぞの南国果実と群れ嫌いの鳥が意見の食い違いで本部の一部を半壊させたばかりだ。

銀時が聞いた話では流石に穏和なツナも怒ったらしくしばらくは大人しくなったはずなのだが……

「アレだな。ツナちょっと甘いんじゃねぇの?俺がガツンっと言ってやろうか?」

銀時が言うとツナは大丈夫とばかりに緩く首を振った。

「大丈夫。今回の揉め事はいつものやつとは違うから……けど銀時さんが心配してくれるなんて嬉しいな」

ツナは書類から完全に手を離しもじもじと嬉しそうに頬を染めた。
そして、しばらく嬉しそうに笑ってるとハッと何かを思い出したかのように書類の束へと手を伸ばし三枚綴りにまとめられた紙を取り出した。

「あ、あの銀時さん。この書類をさきに書いてもらいたいんだけど」
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