銀色
□第6訓 まさかまさかの婚約発表?
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パーティーが始まる少し前にギントキとルイズの親が帰ってきた。
ルンルン気分で今にも鼻歌を歌いそうなくらい機嫌の良いギントキの両親とルイズの母親。
そして、その後ろからトボトボと顔を青ざめ疲れたようすの中年男が歩いてくる。
(誰だ?あれ)
ギントキは、後ろにいる中年男を見ると首を傾げた。
ルイズは、ギントキの視線の先を見てパァッと顔を明るくさせる。
「母しゃま!!父しゃま!!」
ルイズは、ギントキの手をガシッと握ると手を繋いだまま両親の元へと走った。
ギントキはグイグイと引っ張られながらついていく。
「父しゃま!!ギントキ、ルイズの物なの!!」
ルイズの言葉にギントキの両親とカリーヌはキャーキャー嬉しそうに騒いでいる。
一方、中年男は目をカッと見開いてプルプルと震えている。
そして、ギントキを見ては今にも泣きそうな顔をする。
(なるほど、ルイズも言ってたし……コイツが父親ってわけか)
ギントキは観察しながら心の中で呟く。
公爵というくらいだからもっと気難しく威厳があり、亭主関白と思いきや……100%カカア天下のようだ。
「そ、そうか。ルイズをよろしく頼むよ。ギントキ君……」
ヴァリエール公爵は力無く言った。
きっと本心では嫌なのだろう。ギントキはそれを察するとにっこりと微笑んだ。
「もちろん、お任せ下さい。義父上」
そして、確実に嫌がらせの言葉を発する。
これはドSとしての癖である……だが、ギントキは気付いてない。この嫌がらせの言葉は自分にも負担となって返ってくると……
さて、パーティーの時間が近付くとヴァリエール家は準備をするため部屋から出て行った。
残されたデクトロンディ家も、パーティーの準備をもう一度始めた。
ショウヨーは鏡の前で身支度を整え、ジュリアは化粧と髪を整え…………る前に二人してギントキのおめかしを優先した。
「やっぱり、なんて可愛いのかしら」
「ほんとですよ、何度見ても心が踊ります!!」
ジュリアはギントキのふわふわした髪をとき、ショウヨーはギントキの服につけている小さなネクタイを整える。
「いや、母上に父上……先に自分の準備しなよ」
ギントキは呆れ半分、諦め半分で言った。すると、両親はにっこり微笑む。
「あら、ダメよ。今日はギントキが主役なんだから、おめかしに時間かけないと」
「そうですよ。今日は、ギントキとルイズちゃんが主役のパーティーにしてもらったんですから」
二人の言葉にギントキは首を傾げた。
その頃、小さなルイズも着せかえ人形かのように綺麗なドレスを着せられていた。頭には小さなティアラが乗っている。
「うふふ、ルイズ可愛いわよ。まるでウェディングドレスを着ているみたいね」