黒き
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カリーナが扉を開けるとクロームはじっとカリーナを見つめて首を傾げた。
「今、いい?」
クロームの言葉にカリーナは当たり前と言った感じにコクンと頷く。
「当たり前ですわ。クロームちゃんならいつでも大歓迎!!ほら、愚か者たちに見付からないうちに入って」
カリーナはにっこりと微笑んだ。そして、クロームを部屋に入れるとガチャンと鍵をかける。
「適当に座ってて下さいね」
カリーナはそう言うと部屋に付けられたキッチンへと向かう。
そして、いそいそと紅茶の準備を始めた。
紅茶を準備し終わると、冷蔵庫からケーキ屋で買ってきたケーキを出して皿に盛った。
「はい、クロームちゃんはチョコレートケーキで良かったですわよね?」
カリーナはクロームの前に紅茶とケーキを置くと席についた。
「ありがとう……美味しい」
クロームは紅茶を飲むと顔を緩ませた。カリーナはホッと息をつく。
何せカリーナが自分の淹れた紅茶を人に飲ませたのは初めてなのだ。
クロームはカリーナの様子を見るとボソッと呟いた。
「これ、ボスのため?」
「え?……ッ!?」
カリーナは一瞬クロームが何を言いたいのか理解出来なかった。しかし、しばらくするとその考えが分かり恥ずかしそうに頬を染める。
「クロームちゃん……わ、私今、夢があるんです……」
「夢?」
クロームが首を傾げるとカリーナはより顔を真っ赤に染めた。
「し、将来綱吉さんに紅茶を淹れてあげたいんですの」
そう、お嬢様として育ってきたカリーナは将来ボンゴレを潰してツナのそばに居られると聞いた時から今まですることのなかった家事をし始めたのだ。
もちろん、周りにはバレないようにしているため独学で頑張っている。
「そう。きっとボス喜んでくれる」
「ふふ、そうなら嬉しいです」
クロームの言葉に嬉しそうに笑うカリーナ。
ツナのことが好きで好きで仕方がないといった感じのカリーナはとても可愛らしい。
しばらくお茶を続けるとクロームはゆっくりと口を開いた。
「ボスから伝言。そろそろ計画実行する……準備してくれって」
クロームの言葉にカリーナは目を見開くとコクコクと頷いた。
クロームは、カリーナが頷いたのを見ると立ち上がった。カリーナは少し寂しげに目線を動かす。
「クロームちゃん、もう行くんですか?」
カリーナにとって友愛的に話せる女の子はツナを信じたクロームのみなのだ。
ツナのこともあるがクロームとは友達になりたいと思っている。
クロームはそんなカリーナを見て目線を少し泳がせた。そして、きっぱり言う。
「今日はボスに頼まれたことあるから……また来る」
少し頬を赤らめていうクローム。どうやら照れているようだ。
カリーナはそんなクロームを見ると嬉しそうに笑った。