黒き
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ディーノはジッリョネロファミリーのアジトに入ると、にこにこと嬉しそうに笑っていた。
「ボス、なんだか嬉しそうだな」
隣に控えている部下、ロマーリオが聞いてきた。
よほどディーノは嬉しそうにしていたのだろう。
ロマーリオの言葉にディーノは笑顔を浮かべる。
「当たり前だろ!!リボーンに許しもらってやっとツナに会えるんだぜ」
笑顔を浮かべたまま凄く楽しみと言った感じににこにこと笑う。
実はディーノはツナがボンゴレに追われてからずっと会いたかったのだ。
けど、リボーンはキャバッローネがボンゴレと同盟を組んでるからとなかなか会わせてくれなかった。
ディーノはそれでもツナに会うことを諦めなかった。何度も何度もリボーンに頼み込んだ。そして、ようやく会う許可を得られたのだ。
正確には、白蘭の件で恐れたリボーンが自分の被害を最小限に留めようと新たな被害者を召喚しただけなのだが……
「それにしてもリボーン遅いな」
ディーノは少し眉を寄せた。どうしても早くツナに会いたいらしい。
そんなディーノのようすを見てロマーリオはクスッと笑う。
「まぁ、ボス待てよ。確か坊主は会議中なんだろ?」
「そうだけどよ」
ディーノの中ではリボーンなら会議中だろうがツナを引きずってくるイメージなのだ。
実際には、黒い大空会議にビビって初代に呼んできてもらうというヘタレ度を見せていたのだが……
しばらくそんな話をしているとドアがガチャンと開いた。
ディーノは現れた人物を見て嬉しそうに笑う。
「ツナ!!」
「ディーノさん、お久しぶりです。ロマーリオさんも」
ツナはにっこりと微笑んだ。
ディーノは立ち上がるとツナの元へと行く。
久しぶりに可愛い弟分に会えて嬉しいのだろう。
「ツナ、しばらく見ない間に大きくなったな」
兄貴分というよりも遠い親戚のおじさんのようなことを言いながらディーノはツナの頭を撫でる。
そして、少し影を落としてすまなそうに声のトーンを落とした。
「ごめんな、ツナ。俺お前が辛い時、ちょうどキャバッローネの本部に帰っててツナが辛いのに助けれなかった」
兄貴分失格だよなっとしょんぼりするディーノにツナは首を振る。
「そんな、ディーノさんは俺を信じてくれたんでしょ?それで充分です」
ツナが微笑みながら言うと、ディーノは嬉しそうに笑った。
そして、グッと胸を張る。
「ツナ、これからは何か困ったことや助けて欲しいことがあったら言えよ。俺たちキャバッローネはお前の味方だ!!」
ディーノの言葉にツナは少し目を見開く。そして、少し考えるとお願いをした。
「じゃあ、馬鹿なボンゴレを殲滅するために俺たちと同盟組んでくれませんか?」
ツナの黒い笑顔と毒のある言葉にディーノは口をポカーンと開けた。
そして、半分現実逃避をしながらコクンっと頷いた。
「わ、分かった(あれ?今ツナが……いやいやツナに限って、俺の可愛い弟分が黒いわけないよな)」