銀魂倒幕編’(幕府VS天人)

□きっかけはいたって単純
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松陽は心配そうに銀時に尋ねた。もう親バカ丸出しだ。
そんな松陽に銀時は手に持った背丈程の刀を胸に力強く抱きプルプルと首を振った。

「そうですか。それなら良かったです。っと、この子が私の可愛い息子です」

松陽が銀時を紹介すると四人は驚き目をパチクリとさせた。
綺麗な銀髪に兎のような赤い目。無性に可愛かったのだろう。

しかし、四人のそんな反応を銀時は勘違いしたのか、悲しそうな、それでいて仕方がなさそうななんとも言えない表情をしギュッと刀を握る。

四人はハッとして、口々に自己紹介を始めた。

「俺は桂小太郎だ。よろしくな、銀時」

「フンッ、高杉晋助」

「あっははは、坂本辰馬ぜよ」

「坂本陸奥。辰馬の従兄弟じゃ」

銀時は困ったように松陽をチラッと見た。松陽はにっこりと微笑むのみ。銀時は戸惑うように少し無愛想に小さく呟いた。

「吉田銀時……」






銀時が紹介されて、1ヶ月たった。もうすでに、景色は秋の風景、山々が赤、黄色、オレンジなど様々な色に紅葉されていく。
そんな景色の中、1ヶ月前から始まった、塾内ではお馴染みの光景が見えていた。

「銀時!!おはよう、今日もいい天気だなッ!!」

「…………」

「銀時、ワシと散歩にいかんか?」

「…………」

桂と辰馬だ。この二人は毎日毎日銀時に話かけては無言で逃げられている。
そんな二人を高杉と陸奥は無言で見守っていた。


「ハァっ……今日も銀時は反応してくれなかった」

「今日は帰りも居なかったしのォ」

塾の帰り道、桂と辰馬は深い深い溜め息をついた。そんな二人に一緒に歩いていた陸奥と高杉は口々に言う。

「そりゃ、おまんらのようなウザい奴らに付け狙われたら、ワシでも逃げるぜよ」

「っつーか、よくテメェ等あんな無愛想な奴に構ってられんな。確かに松陽先生に仲良くしてやって欲しいと言われたが、俺ァごめんだ」


陸奥は二人に酷く、高杉は銀時に酷かった。

「なっ!?陸奥酷いぜよ」
「ウザくない!!それに……銀時だって一人は嫌なは……」

「大変ッ!!大変だよォォオ!!」

桂の台詞を遮って声を出したのは同じ塾生の田中だった。
田中はまぁ、平凡な脇役の男の子である。
田中は走ってくると息をハァハァと整えて叫ぶように言った。

「さ、さっき見たんだ!!お前らがよく話し掛けてる子が太郎丸達に囲まれてた」

太郎丸とは隣村のガキ大将である。何故か隣のこの村までやってきて威張り散らしては帰っていく。不思議なガキだ。以前、ウザいっと高杉にボコボコにされたのだが、まだ懲りていなかったようだ。

「チッ、ボコり足りなかったか。で?どっちだ?」

「あ、空き地の方向」
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