銀魂倒幕編’(幕府VS天人)
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「頭、何をやっとる。おんしも働かんか!!」
「ウオボロロロ……」
陸奥は坂本に対して叫ぶように言った。だが、坂本から帰ってきたのは吐く音のみだ。陸奥は額に青筋を浮かべた。しかし、坂本に何かを言うよりも仕事を優先させることにした。何故なら後でも充分に殴れるからだ。
その時、坂本の携帯がなり始めた。どうやら電話のようだ。もしかしたら、仕事の依頼かもしれない。陸奥は坂本に出るようにと視線で促した。
快援隊のメンバーは電話に気づき音をたてずに仕事を黙々とこなしていく。
「もしもし」
坂本が電話に出たようだ。陸奥は小声でメンバーに指示をしながら仕事を進めていく。
「俺?陸奥ゥゥウ!!大変じゃ、あの有名な俺俺詐欺が掛かってきたぜよ!!」
「そうか……じゃあ、早く騙されて無一文になってしまえ」
突然意味の分からないことを叫ぶ坂本に陸奥は青筋を浮かべながらきっぱりと言った。今は仕事の締め切りに追われて忙しいのだ。バカの相手をしている場合ではない。
それにどうやら電話の相手は桂のようである。この忙しい時にバカ2匹の相手は絶対にしたくない!!
陸奥はそう思うと電話をしている坂本を脳内除外した。
しかし、それは坂本がある言葉を言うまでだ。
「金時……大変……」
坂本の発した単語を聞き、陸奥は持っていた商品を思い切り坂本へと投げつけ気絶させた。速やかに電話を代わるためだ。
陸奥にとって銀時は可愛い弟だ。昔、坂本と一緒の塾に通っていたとき、松陽先生が突然拾ってきた男の子。
最初は警戒していたせいか懐いてくれなかったが、懐いてくれた後は陸奥姉、陸奥姉と慕ってくれた。
馬鹿な幼なじみ共は銀時にもう兄とは呼ばれてないが、陸奥はまだ時々陸奥姉と呼ばれている。これは慕われ度の違いだろう。
そんな陸奥にとって可愛い弟の存在の銀時が大変……馬鹿に任せず自分が詳細を聞かねばと、気絶した坂本の携帯をぶん取り、耳に当てた。
電話から聞こえてきた桂の言葉に陸奥の表情がだんだんと険しくなる。
怒りの余り携帯を持った反対側の手がプルプルと震えている。
「ほぉ、つまりワシの可愛い末弟に手を出した、と……幕府ぶっ潰すッ!!!!」
ドスの利いた声で陸奥は言った。陸奥からドス黒いオーラが漂っている。それを見た快援隊の古株たちは即座に今回の仕事のキャンセルをし、船の進行方向を地球へと向けた。