銀魂倒幕編’(幕府VS天人)

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「ふざけんなッ!!」

沖田は怒鳴るように叫ぶともう一度土方を殴ろうと拳を握りしめた。しかし、土方から殴り返されてしまう。

「ふざけってねぇよ!!テメェこそそんな私情ばっかで真選組がつとまると思ってんのか!!」

沖田は土方をキッと睨みつける。土方は言葉を続ける。

「だいたい恩を仇で返すだァ?あの野郎は確かに真選組を守ってくれた。だからこそ俺たちは真選組を潰せねぇんだよ!!どんな犠牲をはらっても守っていかなきゃならねぇ!!ここであの野郎を優先したらそれこそ、恩を仇で返すもんだろうがッ!!」

「ッ!!」

土方の言葉に沖田は目を見開いた。確かに自分たちが真選組をないがしろにして銀時を助けようとしたら悲しむだろう。
しかし、沖田は真選組の一番隊の隊長だが、まだまだ子供なのである。そんなこと納得できない。いや、納得なんてしたくない。

沖田は悔しそうに土方を睨み付けると走って部屋から出て行った。

「沖田隊長ッ!!」

「いい、ほっとけ」

部屋を出て行く沖田に山崎が声をかけた。しかし、土方が山崎を止める。
「副長……」

山崎はじっと土方を見つめる。すると、土方は眉を寄せると殴られたせいで出てしまった血を拭った。
そしてタバコを出そうと懐に手を入れ不機嫌そうに呟いた。

「チッ、きれてやがる。……なんだ?テメェも俺の意見に反対か」

「いえ、俺は副長直属の監察ですから副長の言葉に反対なんてないです……ただ」

「あ?」

山崎の最後の言葉に土方はピクッと反応する。山崎はなんでもないですっと言った感じに首をブンブンと振った。
土方は微かに眉を寄せると引き続き情報を入手しとけっと言いタバコを買いに部屋を出て行った。
山崎はそんな土方の後ろ姿を見ながら小さく小さく呟いた。

「ただ……副長は本当にそれでいいんですか?」

山崎の呟いた言葉は誰にも聞かれず消えていった。
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