銀色
□第10訓 騒がしい日常
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デクトロンディ家はいつも以上に騒がしい。何故なら待望のギントキの兄弟が産まれたのだから。
産まれたのは双子の男女である。
男の子の方がシンパチ。女の子の方がカグラと名付けられた。いや、実際はギントキのように長い名前があるのだが……まだ思いついてな……失礼。
まだアレなんで次の機会に紹介しようと思う。
とりあえず、デクトロンディ家では毎日のように赤子の泣き声が響き渡る。
「おぎゃぁぁぁあ」
(お腹すいたネェェェエ!!)
基本的に泣くのは末っ子のカグラである。カグラは大食のためかミルクを飲んでも飲んでも欲しがる。
「あらあら、カグラってばもうお腹すいたのね」
ジュリアはカグラを抱き上げるとヨシヨシとあやす。そしてメイドの持ってきたミルクを飲ませるのだ。
カグラは凄まじい勢いで飲み一回にほ乳瓶10本分は消費する。
デクトロンディ家のような貴族の家に産まれなかったらどうなっていたんだろうか。ちょっぴり怖い。
一方、シンパチの方は薄い。
「あれ?母上?シンパチは?」
「あら?どこに行ったのかしら」
「あうあうあああ!!」
(ここに居ます!!)
赤子の喋る声にジュリアとギントキはキョロキョロと辺りを見渡す。しかし、なかなかシンパチが見つからない。いったいどこに隠れたのだろうか?
「あうぎゃああううぁぁあ!!」
(目の前にいるだろうがぁぁあ!!)
突っ込むような赤子の声にジュリアとギントキは目の前でシンパチを見つけ目をパチクリさせた。
「まぁ、シンパチ。いったいいつからそこに?」
「うぎゃうあぁぁ!!」
(最初から居たわぁぁあ!!)
驚くジュリアの言葉に突っ込むシンパチである。
どうやらシンパチは本体をどこかに忘れてきたらしく仮の姿のせいか……存在がとても薄いようだ。
いつか、シンパチの本体が見つかることを祈ろう。
さて、そんなデクトロンディ家だが今日はいつにも増して賑やかだった。嵐の時期も過ぎ涼しくなった気候に気を良くしたジュリアがピクニックに出掛けることにしたのだ。
まぁ、ピクニックっと言っても屋敷の庭を散歩し、外でお弁当をつつくくらいなのだが……
「うふふ、今日はとってもいい天気……ピクニック日和ね」
ジュリアは窓から外を見てにっこりと微笑んだ。
そんなジュリアに起き抜けの眠たそうなギントキとシンパチがコクンと頷いた。ちなみにカグラはまだ寝ている。
「さて、ショウヨーも仕事に行ったしお弁当作りましょう」
ジュリアの楽しそうな言葉にギントキは目を見開いた。
「え?……母上?」
「あうあ?」
(銀さん?)
ジュリアの言葉を聞き驚いたような顔をするギントキを見ると、シンパチは一体どうしたのかと首を傾げる。