銀色
□第2訓 パーティーに行こう
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デクトロンディ家にギントキが産まれて約4年の月日がたった。
ちなみに、この4年間でキッチン大破事件は三桁にのぼる。特に、ギントキが離乳食に入った時は毎日のように……
いや、このことはまた今度にしよう。
さて、今日のデクトロンディ家は色々と慌ただしかった。
「まぁ、可愛い。可愛い紳士だわ!!そう思わない?ショウヨー」
「もちろんです!!ギントキ以上に可愛い紳士はいませんよ」
ジュリアとショウヨーはギントキに服を着せてはきゃっきゃっと騒いでいた。
ギントキは二人の勢いに押されてなすがなされるままだ。
「は、母上。父上。そろそろ時間なんじゃねぇの?」
ギントキは両親の相変わらずの親バカっぷりに苦笑いを浮かべながら言った。
すると、二人はハッとしてこの魔法世界での時計を見る。
「まぁ、もうこんな時間。急がないと、私まだドレス選んでなかったわ」
ジュリアは困ったように眉を寄せた。そして、メイドにいくつかのドレスを持ってきてもらうように頼んだ。
「はぁ、ジュリア。きちんと用意してなきゃダメじゃないですか」
「だ、だって……私が居ない間にショウヨーってば、ギントキの服決めてそうなんだもの」
ジュリアはプゥッと頬を膨らまして言った。一児の母だと言うのにその仕草はジュリアにとてもよく似合っていた。
「ショウヨーこそ、準備はすんだの?」
ジュリアが聞くとショウヨーは自信満々に頷く。しかし、ギントキに不思議そうに聞かれてハッとした。
「あれ?けど父上。公爵に渡すって言ってた手土産持ってなくねぇ?」
「ああぁぁ!!忘れてました!!」
ショウヨーはそう叫ぶと部屋へとかけって行った。
「んもう、ショウヨーだって人のこと言えないじゃない!!ねぇ、ギントキ」
ジュリアはギントキのふわふわとした銀髪天然パーマを優しく撫でた。ギントキは少し恥ずかしそうに頬を染める。
ジュリアがギントキの頭を撫でていると、メイドがジュリアのドレスを何着か持ってきた。
ジュリアはメイドにお礼を言うとドレスを選び始める。
そして、二着まで絞ると両方を手に持ちギントキに尋ねた。
「ギントキ、どっちが良いと思う?」
にっこり笑顔で聞いてくるジュリア。ギントキは悩んだ。どっちのドレスもジュリアのサラっと綺麗なピンク色の長髪によく似合いそうだ。
「あー、じゃあこっち」
ギントキは、見た目が大人しそうなドレスを選んだ。ジュリアはとても可愛く綺麗なのだ。ショウヨーが近くにいるとはいえ邪な視線を向ける輩はいるだろう。
しかし、ギントキはそれが嫌で嫌で仕方がない。そのため、大好きな母親であるジュリアを守るためあまり目立たないドレスを選ぶのであった。