銀色

□第1訓 デクトロンディ家の毎日
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デクトロンディ家、貴族の中でも上位にランクインが確実だと言われる名門中の名門の家である。
デクトロンディ家の主は、ショウヨー・ロギール・ディ・リエン・ル・ドラ・デクトロンディと言う二十代後半の男……最初の名前で気付いた方もいるだろう、そう銀色の魂にくっついて下界へと落ちた魂の一つ前世名『吉田松陽』である。

ショウヨーは、転生してとても驚いた。
死んでしまった自分が何故か赤ちゃんとなり、この魔法世界に産まれたのだ。
ショウヨーは浄化の門をくぐってないので前世がきっちりと残っている。死の間際に見たのは血は繋がってないが銀色の可愛い息子。

ショウヨーは、前世の記憶があると言う不思議な状態には気にもとめず、毎日毎日ここには居ない息子を心配していた。

そんな、子どもの頃から親バカ真っ盛りだったショウヨーを支えていたのはジュリア・カトリレーヌ・ル・ギン・ド・ラ・ベルリオーズである。(結婚後はジュリア・カトリレーヌ・ディ・ギン・ル・ドラ・デクトロンディになる)

ジュリアは小さい頃にショウヨーに一目惚れしてそれからずっと彼のそばで支えていたのだ。
まぁ、ショウヨーが自分の恋愛にとても鈍かったせいでなかなか結婚にはいたらなかったのだが……



そんなデクトロンディ家に待望の赤子が産まれた。

ジュリアは産まれた赤子を見て本当に嬉しかった。
そして、ショウヨーを見るとショウヨーは何故か産まれたばかりの赤子を見てすごく驚いている。

「ショウヨー?」

ジュリアは不思議そうに首を傾げる。そして後々聞こえてきたショウヨーの呟きに目を見開いた。

(ギントキ?ショウヨーはさっきギントキって言ったの?ギントキって……あのショウヨーが息子だと言ってたギントキのこと?)

ジュリアは不思議そうに父と子の会話を聞く。っと言ってもただ興奮しながらショウヨーが話しかけてるだけなのだが。しかし、話を聞いていると確かにショウヨーの言う通りかもしれない。

(この子も前世の記憶を持ったまま産まれたのかしら?それにしても……異世界で再会する親子)

「な、なんて素敵なの!!」

ジュリアは赤子を抱きかかえキラキラ瞳を輝かせた。自分の産んだ赤子に前世の記憶があろうと彼女はなんとも思わないらしい。

まぁ、そうでなくては親バカショウヨーの妻なんてつとまらないのだが……





デクトロンディ家で産まれた赤子は、ギントキ・アルバルド・ディ・シエン・ル・ドラ・デクトロンディと名付けられた。
ショウヨーもジュリアもギントキを大事に大事にたくさんの愛情を注いで育てた。

そう、周りから密かに親バカ夫婦と言われるくらい。
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