銀魂倒幕編’(幕府VS天人)

□きっかけはいたって単純
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真夏が過ぎ、昼間の気温が少し下がり快適に過ごせる季節になったころである。
この村唯一の塾の主、吉田松陽に桂、高杉、坂本、陸奥の4人は呼び出された。

この4人はこの塾でのリーダー的存在の人物である。
一人目は長い黒髪をポニーテールで纏めている女顔の男の子、二人目は短めの髪に少し目を鋭くさせた生意気そうな男の子、三人目は黒髪のモジャモジャとした天然パーマにヘラヘラと笑顔を浮かべる男の子、四人目は少し薄い茶色の長髪に利発そうな可愛い女の子だ。

「それにしても、松陽先生はワシらにいったい何用がか?」

「あれじゃないか?また高杉が喧嘩をしたとか」

「してねぇよ!!ってかまたってなんだッ!!またって」

坂本の言葉に桂が少し考えて言った。その答えを高杉は口を尖らせて否定する。そんな三人を見て陸奥はハァっと溜め息をついた。

その時である。トントンとノック音がし、ゆっくりと引き戸が引かれた。四人はハッとして、引き戸を見る。そこには、にっこりと優しそうな微笑みを浮かべ、綺麗な長髪をした塾の主、吉田松陽が佇んでいた。

「「「「松陽先生」」」」

四人は声を揃えて自分たちの大好きな先生の名前を呼んだ。松陽はにっこりと微笑む。
そして、ゆっくりと部屋の中に入ると喋り出した。

「小太郎、晋助、辰馬、陸奥。今日は来て下さりありがとうございます」

松陽に名前を呼ばれて四人は嬉しそうに頬を緩ませる。

「松陽先生、今日は何故僕達を呼んだんですか?」

四人の中から桂が代表して聞いた。松陽は四人の顔を見渡して、それはもうにっこりと嬉しそうに笑う。

「そうです。今日は私の可愛い息子を紹介しようと思って呼んだんです。本当に可愛くていくら目に入れても痛くないほどなんですよ」

松陽は、デレデレとした表情で息子を褒めまくる。
四人は眉を寄せた。そして、コソコソと話しだす。

「高杉、先生に奥さんって居たっけ?」

「いや、聞いたことねぇ」

「あっははは、先生はモテても気付かん鈍感者じゃからのォ」

「だったら息子とはなんじゃ?隠し子?」

コソコソと喋る四人に松陽は息子を思ってデレデレしており、気付かないようだ。

「と、とりあえず、松陽先生。その息子とやらはどこじゃき?」

陸奥が尋ねると松陽はハッとし、デレデレした顔を元に戻した。

「そうでした。戸の外に待たせてたんでした!!――銀時ッ、風邪ひいてませんか!?」

松陽は大慌てで引き戸の方へと声を掛けた。すると、戸から部屋を覗き込むように小さな銀色の頭がピョコンと飛び出した。
ふわふわとした柔らかそうな銀色の天然パーマにクリクリとした赤い瞳の小さな小さな男の子だ。

「「「「ッ!?」」」」

「銀時。待たせてごめんなさい。大丈夫ですか?風邪ひいてませんか?」
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