銀魂倒幕編’(幕府VS天人)
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あれからしばらくして酒が運ばれてきた。
土方は銀時をチラッと見るとグィッと酒を飲み干す。
「で?本当はなんでここに連れてきた?」
土方の言葉に銀時はお酒の入ったお猪口をじっと見つめた。そしてハァっとため息をつく。
「だからよォ。女を紹介してやるっつってんじゃん」
「ほぉ、じゃあその女っつーのはいったいどこに居るんだ?」
「あ?そりゃ今から……来たようだぜ」
銀時が言おうとすると部屋の外からノック音がした。土方は戸の方へと目を向ける。
入ってきたのは、金髪の髪を纏め、煙管を口に加えた女だった。顔に傷があるがなかなかの美人である。
「銀時、わっちに何用じゃ」
月詠は、手に煙管を持ちフゥッと煙を出しながら部屋に入った。
「おー、やっと来たか。月詠、これ多串くん」
「多串くんじゃねぇよ!!土方だッ!!土方」
銀時は土方を指差して紹介すると、月詠はチラッと土方を見た。そして、一応名前を言う。
「わっちは吉原自警団百華の頭領、月詠でありんす」
「あぁ……は?」
月詠の言葉に土方はコクンッと頷くも驚いて目をパチクリさせた。
確かに万事屋の知り合いと言うくらいだからただ者ではないとは思ってはいた。だが、目の前の美人があの吉原最強の番人、死神太夫とは誰も思わないだろう。
しかし、土方はこれで分かった。
何故銀時がわざわざ自分をこの吉原に連れてきたのかが。
「俺は武装警察真選組、副長。土方十四郎だ」
「ほぉ、ぬしがあのチンピラ警察24時の」
「チンピラ警察ッぷっ」
月詠の言葉に銀時は口に手を当てて笑う。そんな銀時を土方は睨みつける。そして、チラッと月詠を見て言った。
「まぁ、知り合いになったよしみだ。吉原でなんかあったら警察としてきいてやる」
「吉原には吉原のルールがありんす。それに……心強い味方も」
土方の言葉に月詠は首を振った。そしてチラッと銀時を見る。銀時はお酒を飲んでいた……しかし、月詠の視線に気付くと口を開いた。
「あー、なんかあったら頼ってみたらどうだ?税金泥棒でも少しは役にたつだろ」
「税金払ってない奴に税金泥棒なんて言われたかねぇよ!!」
「払ってますぅ。先々月はきちんと払いましたァ」
「毎月払えやァァア!!」
土方と銀時の馬鹿な口論を聞きながら月詠は不安になり俯いた。
先ほどの銀時の言い方では、もう吉原を守ってくれないみたいではないか。
いや、守れない自分の代わりに土方をあてがえたようにも聞こえる。
「さて、それじゃあそろそろ帰るか」
銀時の言葉に月詠はバッと顔を上げた。
「銀時?」
「じゃあ、俺達はこれで帰るから」