銀魂倒幕編’(幕府VS天人)

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「副長ォォオ!!副長ォォオ!!」

此処は真選組の屯所の中。土方はいつも通り、溜まった書類を整理しながら苛々と煙草をふかしていた。ちなみに溜まった書類とは本当なら近藤が処理しなければならない書類と、真選組の問題児沖田が壊したと思われる請求書である。

土方は苛ただしげに眉間にシワを作り、書類から顔をあげると自分を先程から大きな声で呼んでいる相手がやってくるのを拳を握りしめて待った。

「副長!!副ちょグブへッ!!」

けたたましく襖を開けた相手に向かって土方は右ストレートを放った。溜まった書類のせいでストレスが溜まっていたようだ。

「うるせぇよ!!で、山崎テメェ、なんの用だ」

そこに居たのは真選組の観察山崎退、通称ジミーである。
山崎は理不尽に殴られたことに文句を言わずに土方に自分の手に入れた大変な情報を慌てて口にしだした。

「副長!!大変なんです!!旦那が……旦那が……」

「あ?あの野郎がどうかしたのか?」

土方は山崎の『旦那』という言葉に眉間のシワを増やした。どうやら銀時の顔を頭に浮かべ、少し機嫌が悪くなったようだ。

「大変なんです!!旦那が、白夜叉だとバレそうなんです!!」

山崎は慌てたように言うも土方はそんなことかっと言った感じに煙草を吸った。
今更、隊士に万事屋が白夜叉だとバレたとしても、何も困ったことはない。

真選組の隊士は今までに色々な事件で万事屋に助けられたせいか万事屋に感謝の念がある。それどころか土方や沖田など幹部を含めた何人かは憧れさえも抱いているものもいるくらいだ。
今更、万事屋が白夜叉だと分かったところで嫌悪感を抱くものなど居ないだろう。

「今更だな。隊士にバレてそう困ることはねぇだろう」

土方はフゥッと煙を吐くと天井を見上げた。そんな土方に山崎は相変わらず慌てたように言った。

「違います!!副長、隊士じゃなくて……上層部にバレそうなんです!!」

「なっ!?」

山崎の言葉に土方は目を見開いた。白夜叉、いや、銀時の情報はいつも真選組内部でストップしている。

上層部と言っても松平のとっつあん以外に伝えたことはない。
いや、とっつあんにも詳しくは教えてないのだ。

「どういうことだァ?あの野郎の情報は真選組しか持ってねぇはずだろう」

土方は眉間に深くシワを刻み込むと煙草を乱暴に灰皿に押し付けて火を消した。
機嫌が明らかに悪くなった土方に山崎は緊張のあまりゴクリと唾を飲み込んだ。


「そ、それが……副長は見廻組をご存知ですか?」

山崎の言葉に土方は目を細めた。見廻組と言えば真選組と似たような白い制服を着ている、エリートな家系出のエリート集団である。
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