とある伍長の日記帳
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〇月◇日 晴れ
今日は可笑しな−−…ちょっとだけ“異質”の兵隊達と出会った。
激戦となった砂漠の街に突如、現れた部隊の介入で戦闘は一方的−−それこそワンサイドで終わってしまったのだ。
その部隊……一個小隊にも満たない30名弱の兵士達は装備こそ統一されているモノの言動や立ち振舞いを見れば直ぐに判った。
正規軍ではない事と傭兵部隊である事は一目瞭然だったのだ。
口を開けば、出てくるのはおおよそ下品な言葉。
その応酬とばかりに交わされる更に下品な言葉。
極限の戦場にあって、あそこまでの余裕があるのは余程、身の程知らずか……でなければ…精鋭の証し。
彼等はおそらく……両方なのかも知れない。
だが、それよりも眼を引いたのは肌の色。
多少、日焼けはしているが確かに黄色の肌だ。
つまりは俺と同じ東洋の人間。
俺もそうだが……韓国軍出身の経歴がある為、それなりに優遇はされているが、アジア出身の傭兵は世界的に質が悪いと相場が決まっている。
だからこそ行き場のない連中が群れを作って行動しているのかも知れない……が、そうは思えない。
何故なら、彼等の動きは一流の兵士のそれだったからだ。
それだけの能力があれば、それぞれの国軍に所属していれば、それなりの地位や俸給が施される筈だ。
なのに……何故、傭兵などという畜生に身を窶したのか皆目、見当が付かない。
少なくとも敵ではない……が味方と早計するのもどうだろうか。
傭兵部隊なんて集団はあまり信用ならないと相場が決まっている。
明日もおそらく戦闘になるだろう。
この街は両軍にとって重要な拠点であるのだから。
さて、寝るとしよう。