短ブック

□赤の僕へ藍からの勧誘
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たくさん人を殺した

一夜もしないうちにたくさんの人を

でも私は悪くないもの

全部全部この村の、この島の人間が悪い

私を生贄として捧げたくせにいざ神が来ないと分かったら暴力を奮う

神なんてこの世には存在しないのに

まあ、いいよ

全部終わったから

「ちゅどーん・・・・」

意味のない言葉を発して持っていた斧を投げ捨てる

真っ赤に染まった斧はもう用済み

だって切り倒すものはもうないもの

でも同じく真っ赤に染まった私はまだまだ用済みじゃないからね

自分を大切にしろってどこかのエゴイストか誰かが言ってた気がする!

ガコンッて重質でいてどこかまぬけな音がした

「それでね、貴方はなーに?」

少し顔をずらせば木に寄りかかる人がいる

その人を見つけたのは殺戮の途中

この島の人間じゃないし、私を止めようとしないからほっておいた

でも殺戮が終わった今、興味の対象はその人

男かな、女かな?

暗くてよく分かんないよ

私は気配を読める訳じゃないしね

「ああ?俺か?」

俺って事は男の人かな?

「うん、貴方」

私は一歩その人に近づく

まだ顔は見えない

「俺は、トラファルガー・ローだ」

「・・・・トラ・・・・ロー?」

「くくく、ああ、そうだ」

う〜ん、長いしややこしい名前だから舌がまわらないし覚えれない

ああ、もちろん私の記憶力は弱いよ!

胸を張って言えるよ!

意味違うかな〜?

「ふ〜ん、ローは人殺し?」

「名前の次の質問がそれか?」

顔は見えないけど、なんとか口元は見えた

口角が上がってるから、笑ってるね

「うん」

「くくく、やっぱりおもしろいな。俺は確かに人殺しだな」

「ふふ!じゃあ仲間だね!ロー仲間!」

なんだか嬉しくなって飛び跳ねながら口元を押さえた

それでも口元はニヤついて笑いが隙間から漏れていく

「仲間・・・・ねぇ」

「うん!仲間よ仲間!私とロー仲間よ!」

「じゃあ本物の仲間になるか?」

「・・・・・へ?」

本物の仲間・・・ホンモノノナカマ・・・・?

「なーにそれ、おいしいの?」

「どこの決まり文句だ」

「さあ?」

「まあ、いい。で、どうだ」

どうだって何が?

本物の仲間ってやつの事?

うん、それ以外ないね

ないない

「う〜ん・・・・本物の仲間ってどんなの?」

「・・・・・・」

そして黙りこくるロー

言った本人が分からないのかな?

世界って不思議でいっぱいだー

「来れば分かる」

「?どこに」

「そんなの決まってるだろ」

ローが木から体を離し、私に一歩近づく

「俺のところ」

その顔はどこまでも自信と確信に満ちていた


赤の僕へ藍からの勧誘



















「っていう夢を見た」

「はっ」

「えちょっ、なんで鼻で笑った?!」

「お前が殺戮とか無理だろ。例え一般人だけ相手でもお前のトロ臭さではそいつらにすら敵わねぇよ」

「ちょ・・・傷つくから!!」

「トロ臭いの否定は?」

「・・・・できません」

「くくく、まあトロ臭いままのお前でいろ」

「?なんで」

「その方が遊びがいがあるだろ」

「鬼畜ううううううううううういじめっこおおおおおおおおおおお」

「その口塞いでやろうか?ん?」

「ちょっやっいいから!ちっ近いいいいいいいいいいいいいいい!」

END
 

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